喜望峰の風に乗せてのレビュー・感想・評価
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何故映画化されたのか
映画を観ていく内に何となく結果は読めていた
失敗した時に襲いかかって来る結果を恐れ彼は嘘をつき続け最終的にその嘘が自分にプレッシャーとして振りかかって来て自害する形となってしまった
これは持論だが内容を違う形でわかりやすく言うと飲酒運転で死亡したある一般民の人生を映画化した様な物だった
つまり全てにおいて自業自得だと言う事である
実話を基にした映画を作るのは有意義な事だがもっと映画化するべき実話は数多くあるはずなのにこういった不満しか残らない実話を映画にはして欲しくなかった
コリンの演技力が見応えあり
行くも地獄、戻るも地獄
映画雑誌・映画秘宝の読者プレゼントで当選したムビチケで、大津アレックスシネマにて、本作品を父親と一緒に鑑賞。
率直な感想と致しましては、
『博士と彼女のセオリー』のジェームズ・マーシュ監督による、英国が誇る名優コリン・ファース主演の過酷なヨットレースに挑んだ男の実話を基にした作品と言うこと以外には、特に事前の予備知識もなく、この映画のポスターと邦題から、希望に満ち溢れた美談の映画だと期待して鑑賞に臨みましたが、その予想に反して、とてもとても切なく哀しい悲劇的な映画でした。
このレースでの出来事は、鑑賞後に知ったのですが、欧米諸国で半世紀に亘り映像化や舞台化が繰り返されてきた有名なお話らしいのですが、日本ではあまり知られていないらしく、当然、私も初めて知った内容でしたので、邦題の爽快な言葉を鵜呑みにしていたので、鑑賞の際には、そのギャップの落差にかなり驚かされました。
ですので、「単独無寄港世界一周ヨットレース」に挑戦をした人物の実話と聞けば、成功者のスリリングな冒険譚をついつい期待してしまいますが、このお話の場合は全く違いました。
名だたる熟練ヨットマン達に混じり、船舶用測定器を発明した起業家でアマチュアセーラーである主人公ドナルド・クローハースト(コリン・ファース)も無謀ながらもこの単独無寄港世界一周ヨットレースの「ゴールデン・グローヴ・レース」への参加を表明。
仮に、優勝すれば、業績不振な自社製品の宣伝にもなり、愛する妻子4人の家族にも多額の賞金と名誉を贈れるといった、まさに一石二鳥ならぬ三鳥にもなる千載一遇のチャンスとの思いからでした。
彼自身に対する大いなる過信もあったでしょうが、何よりも、彼の周囲のロドニー・ホールワース記者(デビッド・シューリス)や協賛したBBC放送をはじめとしたマスコミ関係者など各人の思惑も交錯する中、無謀にも、自ら設計したヨットは未完成の準備不足のまま船出をせざるを得なかったのでした。
そして、ドナルド・クローハーストのその葛藤と焦燥から、経済的な破綻と恥辱を恐れるあまりに、為してはいけない過ちを犯し、キリキリと精神的に追い詰められていき、誰しもが心の奥底に秘めていそうな弱さや愚かさ、そして、それらから生まれてくる狂気の沙汰を、まざまざと見せつけられるのでした。
簡潔に言えば、悲劇的な事件を描いたとても陰鬱な映画とも言えるでしょう。
ドナルド・クローハーストなる人物は、このヨットレースにおいては、さぞや卑怯な人物だったのかも知れません。
しかし、この様な出来事をしでかした、そんな人物だからこそ、あの英国の国民的俳優コリン・ファースの様な、愛らしい人懐っこい笑顔が似合う俳優が演じるとなると、あたかも無謀な挑戦も愚かな嘘さえも、すべて彼なりの差し迫った理由があったからだと素直に納得させられてしまいました。
それに、洋上での相次ぐトラブルや悪天候、船酔い、そして大海に中に浮かびながら、それに反比例するかの如く、狭苦しいキャビンに身を置き、永遠かにも思える孤独感などとの闘いなど彼の置かれた境遇にも同情的にもなり、自分にも同じような驕りや弱さがあるのではないかと自問自答させられるのでした。
今回の『喜望峰の風に乗せて』という邦題に対して、この映画の原題「THE MERCY」の方が何とも辛くその哀しさをより端的に表していました。
字幕では、これを「救い」と訳していましたが、この言葉には「慈悲」という宗教的な意味合いも含んでいるらしいのですが、主人公ドナルド・クローハーストの身勝手とも言える逃避行動を、この「THE MERCY」という言葉で済ませたい気持ちは分からないでもない。
しかしながら、この一連の行為に対し「救い」や「慈悲」などの念などと呼ぶべきではなかろうとも思われてならないのです。
経済的な破綻や恥辱を乗り越えるだけの僅かな勇気さえあれば、神様には、彼に全く異なる救いの手のご計画があったはずだと思いたい。
しかし、否が応でも、その最終的決断からも、ドナルド・クローハーストには罪や咎から解放される事を確信しての行為なのかと思えば、「救い」でもあり「慈悲」でもあるのかと、思い悩まされました。
この映画の巷間での評判や評価も事前に特段の知識も何も知らずに、『博士と彼女のセオリー』のジェームズ・マーシュ監督と英国が誇る名優コリン・ファース主演の映画ならば是非とも鑑賞したいと思い、映画雑誌・映画秘宝の読者プレゼントのムビチケに応募したところ、見事に当選し、今回、琵琶湖の浜大津港の傍に位置する、大津アレックスシネマまで、鑑賞に臨みました。
私的な評価と致しましては、
成功譚ではなく、また後味が悪い陰鬱な作品と言うことから、映画の好みからすれば、賛否はかなり分かれるでしょうけれど、私は観て良かったでした。
コリン・ファース演じる主人公ドナルド・クローハーストが逃げ場のない状況下で狂気に満ちていく様子や、当然の事ながらも、セーリングに伴うトラブルの改善をするべく、マストの支柱によじ登るなどセーリングの基礎を習得した上で、見事に演じ切っている点には感心させられましたし、彼独特のチャーミングな顔付きには、いつもながら惹き付けられるものがありました。
また、妻クレア・クローハースト役のレイチェル・ワイズや、ロドニー・ホールワース記者役のデヴィッド・シューリスなども実に好演していた点。
そして、昨年(2018年)2月に惜しくも死去されたヨハン・ヨハンソンの最期の映画音楽の3作品のうちの一つとして、エンディングロールで流れる優しく響く調べがたまらなく切なく、心に染み入った点も良かったです。
ただ、彼の置かれた境遇がどうであれ、愛する者が待っているにも拘わらず、彼の採った最終的な決断については、私には、どうしても合点が行かず共感し辛い事から、五つ星評価的には★★★☆(70点)の三つ星半の評価とさせて頂きました次第です。
逃れられない状況に置かれた男の切ない決断
伝記モノは難しですね
私自身も趣味でヨットを楽しんでいたこともあり、多くの外洋レース参加や一人で世界の海を航海した経験があります。
なので、皆さんのレビューとは異なった視点になることをお許し下さい。
まず、このドキュメントは、本国の英国含め、欧米では非常に有名で、タイトルこそ違えど映画、TVドラマ、小説、オペラ等で繰り返し世に出ています。
日本で言えば、ミステリアスな歴史モノが何度もリメイクされる感覚です。
今回の「The Mercy」は、コリン・ファースが国民的俳優ゆえ、必然的に配役となったと取られています。
この映画で初めてこの出来事を知った方には、主役のドナルドの背景情報が少なすぎると思うので、消化不良で中途半端な作品と見られるようですが、実話はもっと深遠で豊かな愛と、人間の存在、神との対峙の葛藤が描かれています。
そのへんを知るには、これの100%実録映像作品「Deep Water」をご覧になられると良いと思います。有名なのでyoutubeで見れます。
欧米のファンはこれらの事前情報がある上で、今回は名優コリン・ファースを賞味するという構図なので、ストーリの本質は二の次になります。
映画には描かれてない点ですが、ドナルドが何故無謀なチャレンジに邁進したのか?経済的理由から賞金を狙う形になっていますが、
実際は、彼の幼少期時代、父の死と一家の財産の消失による生活の困窮、その後の流転で味わう英国のノブレスリージュ的な責任感、そこから生まれた家、家族を守るというマインドセットが絡み合い単独世界一周を成し遂げたチチェスターの背中にその解の全てを見た。ということだと思います。
ドナルドは週末セーラーとして近海セーリングしか経験のない身、それでもシーマンの端くれ、外洋、特に南極海の波の危険は誰でも知っています。
自分の船の艤装も明らかな準備不足。本人は延期を考えるがそれでも出航しなければならなかった理由と義理。それを知っている妻クレアの心痛。
何もドナルドが無鉄砲に走っていた訳でなく、止めることもできた、と後にDeep Waterの中で妻クレア自身が深い悩みを語っています。
Deep Waterではドナルドの生のログブック(航海日誌)、生の無線通信の状況が見れます。
彼の直筆ログの文字に、葛藤と孤独がいたるところに見られ、その苦しみが伝わります。
ターニングポイントとなったアフリカ沖、スクリューを失い、転覆防止復元用フロートも破損。(その先のアフリカ喜望峰や南米ホーン岬を回航するには、転覆必至、荒れる海面を抜け出すには動力重要)
戻れば屈辱、進めば死、の選択。彼はその中間を選び定期連絡を断ちました。その結果が偽装航海。
最初は罪悪感に始まるものの、最終的には人間としての存在の真理や究極の価値観を求めることに行き着きます。
何のためのフェイクだったのか?一見大嘘つき野郎ですが本国では彼をヒーローと見る人が大勢います。
社会は白黒分かりやすい単一的な因果を求めがちですが、この実話の核心は、インチキの審判ではなく、人間の弱さと愛の強さなのでしょう。
実録映像に見る、彼の瞳ににじむ寂しさ、静かに見送る家族、妻の不安と包む愛、、その心模様の立体的な奥深さは超一級の感動ストーリです。
作品が意図的に単調な表現に徹し、脚色なしで起きた事実のみを伝えるのは、献身的フェイクとは罪なのか正義なのかの永遠の問いかけなのだと思います。
もちろんそこに答えはなく、彼が到達した世界は命と引き換えに神への救済Mercyだったのだと思います。
同じヨットマンから見たマニアックなネタになりますが以下少々。
ドナルドの時代以降、単独無寄港世界一周の最短記録チャレンジは頻繁に行われています。
1969年彼が参戦した初回のレースは、その後ヨット界のレジェンドとなったノックス・ジョンストンが優勝で記録した313日。
その後多くのセーラーが挑戦し2004年フランスのフランシス・ジョワイヨンが72日の新記録を作ります。
この記録はしばらく破れないだろうと見られていましたが、翌年2005年、なんと英国の28歳の女性エレン・マッカサーにより破られます。新記録71日。
当時、屈強で命知らずのオジサン達が独占する戦場へ、うら若き女性が参戦するとして大きな話題となり、衛星中継ライブ映像が毎日届けられました。
プロセーラーなものの容姿もアイドル系で可愛く、英国の名誉挽回と支援者達の期待を一心に背負い出航しましたが、やはり南極海では猛烈な魔海の洗礼を受け、死の恐怖から連日キャビンの中で発狂、辞めたい辞めたいと大泣きを繰り返す状態でした。新記録(現在は更新されてます)で無事ゴール後はその偉業に英国女王より最年少でナイトの称号が与えられました。
その後、エレンは新記録を作ったトリマランに乗り世界各国を周ります。横浜のベイサイドマリーナに寄港した際は滞在中親しくさせて頂き、BBC取材陣を横目に記録映像を撮らせていただきました。
優しく繊細で奥ゆかしさがあり、出航時のキュートな笑顔は今でも忘れられません。
ドナルドの実際の映像を見ると、彼の顔がエレンに非常に似てるんです。なんの因果か、不思議なものです。
他にも、SSBによる定期通信、CWによる隠蔽工作、終盤罪の告白のためMZUW(エレクトロン号)が沿岸局に妻へ直接フォーンパッチを依頼する場面など、臨場感があり楽しめました。
今回のThe Mercyでご不満の方は是非Deep Waterをご覧になってみてください。
映画では妻役のレイチェル・ワイズの最後の言葉が良かったですね。こんな感じでしたでしょうか、、
「夫は貴方たちマスコミの犠牲になった。準備不足で無謀だと出航を断念するところを強引に背中を押したのは貴方たちです。皆成功を祈っていたはずなのに、失敗するやいなや海に落とし笑いものにし、更にその頭を押さえつけるのが貴方たちマスコミです。夫はもう戻りません。でも今でも毎日夫の帰りを待つ子供たちがここにいるのです」
理解できなくても、許せるか
ヨットには(チーム戦の方ですが)若干興味があるし、『クレイジージャーニー』の白石康次郎さんのテレビを見たことがあるので、その過酷さはある程度はわかっているつもりで鑑賞しました。
まず、このポスターと、この邦題からして、希望に溢れた映画だと思ってみました。
全く違いました。
とてもとても悲しい映画でした。
ラスト近くの奥さんの言葉が、きっとこの映画のテーマだったと思います、いや思いたい。
「理解できなくても、許したい。」
果たして、自分にできるだろうか。
「赦し」について考えさせられました。
世間の批判や、仲間の期待を裏切ることなんて、きっとちょっと我慢すれば何てことはなかった。
彼は何よりも、家族の愛の重さについて押し潰されて、あのような決断をとりました。
彼のことを許せただろうか、子どもたちは、父親のことを誇りに思えただろうか。
私は悔しい。
そして、許せない。
人間は誰でも罪を犯すもの。
それを自分が受け入れて償うことができるほど強いか。
周囲の人については、彼がどんなに世間に後ろ指さされることをしたとしても、許すことができるか、責めないでいられるか。
結構突きつけられるテーマでした。
生きて帰るのと、あのまま死んでしまうのと。
どっちが騒動が起きずに済んだかなぁ。
やっぱ死んで欲しくなかったな。
予想外な展開。
自壊
1968年にイギリス発で行われた世界初のヨットでの単独無寄港世界一周レースに参加した男の話。
基になった出来事は知らず、測位機器の製造販売業者を営むヨットのアマチュアが世界一周レースに挑むという始まりで、「ナヴィケーター」の宣伝や売名が目的ながら偉業をなし遂げた話かと思ったら…嘘を流したこと以外は良い人だし、家族への愛情も強く持っているし、嘘に対する葛藤や苦悩があったみたいな描き方がされているけれど、本当のところはわからないっていうね。
自分には、ただの調子ノリの男が根拠の無い自信で大見栄をはったけど、謝ったり一から出直す勇気がなく出航したらやっぱり上手く行かず。冷たい目に晒される根性もなくて逃げきった哀しい話か残念な話としかみられず。
上手いこと波乱万丈の冒険譚風にみせていてストーリー展開は面白かったけど、事実だから仕方ないとはいえラストががっかりで締まらなかった。
孤独
まず、本当にヨットの上、海の上にいる感覚になります
そしてこの映画は前半にほんの一瞬だけ幸せや、希望に溢れた時間が流れるけど、
その後はずーーっと最後の最後まで孤独だった。
孤独感と絶望感、無念、悲しみ、苦しみ、痛み、葛藤、、、。
ドナルドが達成したかった世界一周。
とても到達することは出来ないと分かっていながら果敢にチャレンジする彼の姿はとても眩しかったしカッコ良かった
だけど、その裏には不安しかない。仮面を被ったドナルドが既にいた。。
航海中は、といえばもう、、、
どう表現したらいいのか。。
誰の手も借りれず一人で押し潰されるドナルド。
家族の声さえ聞くことが出来ずに。
自分から無線を切ってしまう。
葛藤の末航海がとても順調に行っているという嘘をつく。
罪を犯し、故郷にいる人々はそれを大々的に発表し、先走り大喜び
ドナルドはそれを訂正することも出来ずただただ海の上に浮かんでいるだけ。そして自分を責める。
なぜ棄権しなかったんだろう、どうして戻れなかったんだろう、、本当に苦しかっただろうな。。
これが真実に基づいた話しである事を知った上で鑑賞していたので、胸が痛くて痛くて涙が止まらなかった。
コリンファースの役作りも素晴らしかった。
痩せ細って行き、黒く焼け、髭や髪の毛は悲惨な状態。
だけどやはりコリンの目は美しかった。
ドナルドは自分から命を絶ったのだと思った
きっと、あの時計を重しにしたのではないか。。
最後に
唯一達成できた挑戦者が、ドナルドの遺族へ賞金を渡したという言葉が出てきたとき、
また涙がドバーーーーット滝のように出てしまった。
彼は自分に失望したくなかったのかな。
だけど命を絶つ事はなんの救いでもない。。
アーーー頭痛い!
脚本かも?
選択
ネクタイを外しても気品漂うコリン・ファース
個人評価:3.7
コリン・ファースがネクタイを取り、大海原の冒険へ向かう。ぼろぼろなシャツと乱れた髪でも気品が漂うのはコリン・ファースの素敵なところ。
実話とおりの結末で、なんとも悲しみだけが後味に残る。彼はいったい何を守りたかったのだろう。何をしたかったんだろう。
海の上で闘っていたのは自然とではなく、マスコミや財産や、そして自身が生み出した闇との葛藤。
最後の決断ではたして家族は守れたのだろうか。
映画としては、何故、主人公がこの航海に駆りたたれ、また最後の決断をする程、守りたいもの。無事に帰り家族と対面する事以上に譲れないもの。それが今ひとつ伝わってこなかった。
海の上で死を呼び込んだのは、自然ではなく人間のさが。
どうしてっ!と口の中にいやな味が広がっていく。
孤独な航海記
人生一発逆転を狙って無寄港での世界一周航海を目指した男の話。
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たった一人でしかも海に出たことの無い素人で、不完全な船で航海をするのがどんなに孤独なことか。英国紳士な良いパパのコリン・ファースがだんだんやつれてく姿が悲しい。
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船はずっと揺れてるし、船の中はスポンサーからのビールやら(そんな飲まねーよ)なんやらで狭くてそれだけで気が狂いそうだよ。そして画面も揺れてるからこっちも酔いそうに、、(笑).
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結局主人公追い詰められた果てに死んじゃうんだけど、この映画主人公がどうして追い詰められいったのかって言うのがわかりやすくてまだ死んだ理由は理解出来る。
それが良いか悪いかは別としてね。
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同じように大切な人を残した死でもアリーの時は身勝手だなぁと思ったけど、この話は死んでもしょうがない状況かと思ってしまう。どっちにしろ周りがどうにかできないものか。
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