「何がこのような結末を招いたのか。現代版イカロスを思わせる物語」喜望峰の風に乗せて ぐうたらさんの映画レビュー(感想・評価)
何がこのような結末を招いたのか。現代版イカロスを思わせる物語
クリックして本文を読む
この人物、クローハーストのことは以前から何かで読んで知っていたのだが、もしも本作が自分にとって初めて彼の人生に触れる機会であったなら、鑑賞後、精神的にかなり引きずってしまったことと思う。
ある意味、すべての要素が彼を追い詰めたとも言える。もしくは、誰も悪くないのにこんなことが起こりうるのが人生の哀しさ、とも言い得る。面白いことに本国ではこれまでにもクローハーストにまつわる多くのドラマや映画、ドキュメンタリーが製作されてきた。誰もがこの逸話に、人間という生き物が抱える「謎」を感じているような気がする。
これは良き夫であり、良き家庭人であり、良き成功者でありたいと心から願ったごく平凡の男の物語である。手元にささやかな幸せがあっても、人は自ずと「もっと、もっと」と手を伸ばしてしまうのか。それとも引き返そうと気付いた時にはもう手遅れなのか。まるで現代版の「イカロス」のように思えてならなかった。
コメントする