「カメラ」グッド・ネイバー tokyotonbiさんの映画レビュー(感想・評価)
カメラ
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悪趣味な少年たちが、一人暮らしの老人の家に忍び込み仕掛けを設置して隠しカメラでその様子を記録するという胸くそ悪いストーリー。
「この老人やばい」の煽り文に、「ドント・ブリーズ」系統?と思うものの、結果は妻に先立たれた老人が家の仕掛けで起こされていた怪奇現象に妻の幻想を見たためか拳銃自殺した。
序盤の被告人を映さない裁判の場面と、証言台に立つ生き残っていることを示すキャラクター達に、真相を引っ張るやり方が上手いと思う。
「ネットに動画をあげて有名人になりたい」という今どきの承認欲求と、犯人の一人である主人公少年の恨みを元にして、話は進んでいく。
人は見たいものしか見ないと言った主人公の台詞通りに、主人公は老人がとんでもない狂人で悪人であることを望んだ。けれども現実にそんな人間は存在しなかった。
偏屈で近所の人への態度も悪い老人だったけど、病床の妻に献身的な介護をして、その妻が亡くなっても、思い出を手放すことが出来なかった一人の孤独な老人がいただけだった。
「実験動画をあげて沢山の人に見てもらって有名人の仲間入り」を狙う行動も、裁判所から出て犯罪者としてスクープされる形で叶えられる。
こんなんで叶えられても得るものがないし、自分の人生に大きな影を落とした馬鹿な行動だっただけだ。一緒になって囃し立てていた友人もそっぽを向く有様。
過激な思い込みや欲求のために危険で迷惑な行動をする傾向はありませんかと冷水を浴びせられた気分だった。
真新しさや強い印象はないけど、こういうオチの映画もあるよというラインナップを持たせてもらった。
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