「.」グッド・ネイバー 瀬雨伊府 琴さんの映画レビュー(感想・評価)
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自宅(CS放送)にて鑑賞。日本劇場未公開作。WEB上で注目を浴びようと“幽霊プロジェクト”と云う実験の記録動画作製を試みる二人の思惑と誤算を描く。騙した(仕掛けたor出し抜いた)つもりが……と云う『スケア・キャンペーン('16)』や『ドント・ブリーズ('16・一人暮らしの老人宅がターゲットと云う共通点もある)』を彷彿させる設定。記録したPOVと顛末を振り返る法廷の様子が度々インサートされ全篇のリズムを作る。ミスリード活かしきれておらず、クライマックスも盛り上がりに欠け、着地点も想定範囲内。55/100点。
・何やら曰く有りげなグレイニー邸と地下室、それを訝り訪問を繰り返すE.ホッジの“クリストファー・トッド・ファーマー”巡査、実験途中から度々衝突する実験を施す観察者の二人と暴かれたターゲットへの私怨、証言どころか法廷にさえ居ない登場人物に何かが起こったと思わせる流れ……等々、充分に魅力的で興味深かったが、とても残念な結果に終わった印象。ラストも対照的な二人の様子を描くが、摑み合い殴り合うか、泣き崩れ抱き合う等、感情を爆発させる様な二人が観たかった。
・“ハロルド・グレイニー”のJ.カーン、どこかで聴いた名前だと思ったら『ミザリー('90)』で“ポール・シェルダン”演ってた人だと思い当たり、ついついR.シャイダーばりの渋い容姿の面影を捜してしまった。“ショーン・ターナー”のK.ギルクリストは、『イット・フォローズ('14)』の“ポール”、“イーサン・フレミング”のL.ミラーは『ゾンビーワールドへようこそ('15)』の“カーター”としてそれぞれ最近観ていた顔馴染みの演者だった。
・“幽霊プロジェクト”のルール三箇条──
・被験者への物理的な妨害行為禁止。機械を通してのみとする。
・結果に関らず、期間は六週間。
・客観性を優先させ、台本や編集は行わず、事実のみを記録。
亦、本篇内に表示されるテロップによると、“幽霊プロジェクト”は2014年9月19日土曜日(正しくは金曜日である)に始まったとされているが、その六日後を9月23日としている。
・K.ギルクリスト演じる“ショーン・ターナー”の部屋に貼られてる映画のポスターの内、確認出来たのは『恐怖城('32)』、『リーファー・マッドネス 麻薬中毒者の狂気('36)』、『妖怪巨大女('58)』、『プラン9・フロム・アウター・スペース('59)』、『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド/ゾンビの誕生('68)』、『デビー・ダズ・ダラス('78・J.バックリー監督、B.ウッズ主演のポルノ)』の六作。
・'16年3月13日に「SXSW映画祭(サウス・バイ・サウスウエスト・フィルム・フェスティバル)2016」に"The Waiting"のタイトルで上映され、バーティカル・エンターテインメントが配信権を買収した際、現タイトルに変更された。
・鑑賞日:2018年8月23日(木)