「とてもよかった」全員死刑 古泉智浩さんの映画レビュー(感想・評価)
とてもよかった
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カナザワ映画祭で小林監督にお会いして原作本を薦めてくださったので読んでみたらとても面白かった。リアルで馬鹿みたいでとても怖かった。
映画は事前に何の情報も入れずに見たいと思っている。特に原作を読んでいると、ネタバレ状態で、それと照らし合わせて見てしまい初見の楽しみが薄れる。それがとても残念だったのだが、原作で特に好きな拳銃で殺される人がなぜか素直に撃ち易いように頭を差し出す場面が思い描いたのと同じ感じで表現されていて「そうそう!」と思った。
あと、お父さんの自殺失敗する場面も素晴らしかった。想像では得られない感触を目にすることで得られた感じがした。
特によかったのは、お兄ちゃんで、恫喝だけがうまいクズが見事に表現されていた。見ている分にはとても面白いけど、近くにはいたくない。
これまでの小林監督の自主映画作品と比べると、テイストは失わず輪郭がくっきりして魅力が倍増している。ぜひこれからも商業作品を作り続けて欲しい。
原作や実際の事件を含め、家族愛の負の側面が濃厚に現れており、バカなのは間違いなく、悲惨な出来事なのだが、だからと言って全否定できない。オレが被害者でないから言えるのだが、彼らも人の子であり、優しいところやいいところもあるのが切ない。
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