「所謂『DQN』」全員死刑 いぱねまさんの映画レビュー(感想・評価)
所謂『DQN』
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フィルムノワールの体裁を帯びているが、実は笑いの要素も組み込まれている作品である。とは言ってみたものの実は正直、評価に困るバランスのあやふやな内容でもあった。
今作品も原作があり、その原作も実際の凄惨な事件がベースになっている。事件自体もとても人間じゃない所業なのだが、その鬼畜な連中の演出、描写があまり上手く行っていないのではと感じた。それはキャステイングのせいなのか、構成のせいなのか、そもそものテーマへのアプローチのせいなのか、素材が映画的でセンセーショナルなだけにそのギャップに心の落とし処がみつからないというのが今現在の自分である。
それぞれのキャラは立っているし、演技が悪い訳ではない。でもなんとなくシーンを通じて感じる浮遊感というか、摑み所のない空虚感が狙ったモノなのか、それともテーマへの追求不足、バックボーンの浅さなのか、それを説明できる能力が不足している自分なので、もしかしたら観る人間を選ぶ作品なのか、考えあぐんでしまう。事件が忠実なベース故、その結末もバレてはいるので、多分キモはどうしてこういう人間の皮を被った悪魔達がこの世に存在しているのかという疑問を観客にプレゼンスすることだと思うが、絞首の際の失禁や目玉が飛び出る等のリアリティを演出することの意味をもって、そこに結びつけることが難しい。被害者も加害者も大変近い、最狭な世界の中での最恐の出来事を、もっと深層心理を抉る造りを期待したのだが・・・
話は変わるが、主人公の兄の女役の女性のキャストクレジットが探してもみつからなかった。何か理由があるのだろうか?なかなか演技良かったのだけどね。あれで、ヌードシーンがなかったのも不思議だが・・・
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