「メキシコ版のオリジナルが観たい!」あしたは最高のはじまり 曽羅密さんの映画レビュー(感想・評価)
メキシコ版のオリジナルが観たい!
元々は『Instructions Not Included(英題)』というメキシコ映画のリメイク作品らしい。
アメリカ版の予告を観てWikipediaを読む限りあまり改変がされていないようだが、日本では本編が観られないので詳しい実体はわからない。
(父親サイズと子どもサイズのドアがあるところまでいっしょ)
いずれにしろリメイクされるぐらいのオリジナル作品を観たいものである。
日本ではヨーロッパや韓国映画はさかんに上映されるが、なぜ南米やアジアの映画をもっと上映しないのだろうか。
残念である。
オマール・シーは『最高のふたり』以来、『サンバ』『ショコラ』など主演の映画はもちろん『パーフェクト・プラン』『二ツ星の料理人』『インフェルノ』などのハリウッド映画も含めて筆者も彼の出演する映画をよく目にするようになった。
『ムード・インディゴ うたかたの日々』にも出演していたらしいが、こちらは観てはいても彼が出演していた記憶がない。
個人的な見解になるが、本作も含めたシーのバディムービーはすべて演技が同じに見える。(同じようなキャラクターに起用されているとも言える)
『インフェルノ』における原作にはない腹黒い捜査官など結構シリアスな役柄も似合うと思うが、一度定着したキャラクターが災いしてなかなか他のオファーが来ないのだろうか?
オリジナルはメキシコとアメリカが舞台で不法入国するおまけまでついているが、本作はフランスとイギリスを飛行機で移動するだけ、そこはしょうがない。
映画プロデューサーに主役が気に入られて映画のスタントマンになる設定もいっしょだが、オリジナルでのプロデューサーがゲイかどうかはわからない。
ただオリジナル版では後年会う母親のパートナーは女性なので、プロデューサーをヘテロにしているかもしれない。
本当に近年制作される映画には同性愛の設定が多いと思う。
最近観た映画のうち4本に同性愛ネタが含まれている。
また本作で母親の異性遍歴を黒人にしたのも主役がシーという黒人であるからだと思われる。
DNAの都合上女の子は黒人と白人との混血児でないと成り立たない。
本作では母親がスパイとして各地を巡っている嘘をついているが、オリジナルは冒険家のような設定である。
よくできている作品だと思うが、やはり何か腑に落ちない。
う〜ん、不治の病かぁ〜。
まあ、主演の女の子の溌剌とした演技が良かったからもう言うのはよそう。
ただし申し訳ないがあらすじもほぼ読めてしまったので全く感動はなかった。
なお細かいところだが、1つ疑問に思ったところがあった。
父娘の部屋は相当豪華だが、聞き違いがなければ親父がスタントで稼ぐ月収は6000ドルだったと思う。
日本円に換算すると65〜70万円ぐらいだろうか。
あの部屋をあれだけ豪華に仕立てるのは無理に思えるし、維持するのも難しいのではないだろうか。
ロンドンの物価は恐ろしく高い。
地下鉄の初乗り料金が5ポンド近くする。日本円に換算すると700円以上になる。
世界中を旅している知人に聞いた話だが、大都市で一番物価が安いのは今や東京らしい。
日本が20年間デフレを続けた結果、日本の物価が高いというのは過去の話になったようだ。
たしかに筆者が小学生の時から30年近く経つが、国鉄からJRに変わっても初乗り料金は130円から140円のまま横ばいである。
日本国内ですら食料品などは薄利多売な都会では地方より安い場合さえある。
アメリカでオリジナルのメキシコ映画が公開されたのが2013年、本作は2016年制作の作品だからわずか3年でリメイクされたことになる。
このリメイク速度はあまりに速い。
しかも他にもアメリカ、ブラジル、トルコなど4カ国でリメイクが決定しているのだとか。
世界的にコンテンツの枯渇と売れた作品に雪崩を打つ現象は深刻なのかもしれない。
4カ国のうちあと1つに日本が入っていなくて安心したが、最後の1つは13億超の人民を抱えるお隣のあの国でした〜。