「お馬鹿サイコスリラー」ゲット・アウト ヨックモックさんの映画レビュー(感想・評価)
お馬鹿サイコスリラー
アメリカ人の人種差別に対する“うまく言えないギクシャク感”をうまく具象化して醸し出そうとしている努力を感じる。それは黒人の身体能力や、あるいは迫害の歴史や社会情勢への、もしくは知識人として振舞う虚飾的な自尊心に起因する、コンプレックスや後ろめたさや拭いきれない白人としての優越感などなどが複雑に絡み合っているのだろう。
とはいえ結局我々がこの奇妙な感覚を理解し切ることはできまい。
ドキドキしながら見てたら核心のネタが凄まじいオーバーテクノロジーで、衝撃よりも笑いが上回ってしまった。そっかー、白人は実は黒人の身体に乗り代わりたがっているのかー。
すごく簡便な脳外科手術で人の人格をまるまる他人に移せるという細かい説明ぶっ飛ばしたトンデモ技術が素敵。
アメリカ人って催眠術好きだよね…。
エンディングは刑務所ENDのほうが無理があるように感じる。いくら火事で焼けてもあのレベルの地下施設があれば色々わかるだろうに。
よくあるアクション映画の拳銃の奪い合いみたいなノリでティーカップを取り合うシーンがマジシュール。
最後の最後まで「実は冒頭のカウンセリングから見ている夢でした」くらいのちゃぶ台返しを期待してたのだけど、そんなことはなかった…。
コメントする