劇場公開日 2017年5月6日

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「これは映画じゃないよ。ドラマの総集編。」赤毛のアン Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0これは映画じゃないよ。ドラマの総集編。

2017年5月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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「赤毛のアン」(原題:L.M. Montgomery's Anne of Green Gables)。

ルーシー・モード・モンゴメリーの名作同名小説の劇場版映画ということにはなっているが。

映画冒頭のお決まりである制作会社ロゴがなく、いきなり始まり、本編が16対9アスペクトでびっくり。

それもそのはず、劇場映画というよりもテレビ映画の総集編だ。各話のつながりがかなり雑である(フェイドアウト)。自然光を使った撮影には好感が持てるものの、残念ながらHD画質なので劇場スクリーンサイズには耐えない。

この劇場上映は高視聴率だった、NHK朝の連続テレビ小説"花子とアン"(2014)にあやかったか。だとすると実にビジネスライクな公開だが、これで1,800円は厳しい。元コンテンツは、モンゴメリーの母国・カナダのテレビ局YTVによる全13話の連続ドラマである。

全13話を89分に凝縮しているので、原作の設定やあらすじをよく知っていないと、話の展開が忙しい。主人公アンのおしゃべりが魅力のすべてなので、その猛スピードの会話を楽しみたいが、ストーリー消化の大きな障害になるかもしれない。

先に短所を並べてしまったが、ストーリーを知っていれば話は別だ。

高畑勲と宮崎駿によるアニメ世界名作劇場「赤毛のアン」(1979)を知っている世代には、懐かしいエピソードばかりである。母国カナダの制作だけに原作への忠実度が高く、逆にテレビ版13話をオリジナルで観たくなる。

オーディションで選ばれたエラ・バレンタインの主人公アンは、実にしっくりとして可愛いし、名優マーティン・シーンがおじいさんマシュウ役というのも素晴らしい。強引なエピソード編集であるものの走馬灯のように駆け抜け、最後のオチに思わず泣ける。

本作の製作総指揮が、作者モンゴメリーの孫娘ケイト・マクドナルド・バトラーだというが、原作は20世紀初頭だぞ、いったい何歳だ!?

本作には、2月にテレビ放送されたばかりのシーズン2「Anne of Green Gables: The Good Stars」(2017)があり、そしてこれから放送予定のシーズン3「Anne of Green Gables: Fire & Dew」(2017)があると聞き、それが気になってくる、ああっ。

(2017/5/5/新宿バルト9/16対9ワイド/字幕:内海千広)

Naguy