「夢破れし者への優しさが染みる」火花 AuVisさんの映画レビュー(感想・評価)
夢破れし者への優しさが染みる
徳永と先輩芸人・神谷が目指す笑いは、原作者の又吉直樹がピースで披露した芸と同様、大衆受けする王道の漫才とは明らかにセンスが異なる。分かりやすさとは対極にある独特さゆえに、徳永と神谷はそれぞれのコンビがなかなか売れず苦しむことになる。監督の板尾創路もまた、独特のセンスで知られる芸人であり、製作に関わる吉本興業による粋な起用だろうか。
徳永のコンビ名スパークスは題名の火花に通じ、刹那輝いて消える花火のはかない美にも呼応する。この映画版は原作以上に、芸人を夢見るも食えない現実に負けて諦める者、淘汰された者たちへの優しさ、肯定にあふれている。
菅田将暉は話芸では健闘したと思うが、イケメンの印象を消し切れず、テレビに出ても女性ファンがさして増えない役としては不自然。鬱屈より爽やかさが勝っていた。あと妊婦や子供がいる店内でも配慮せず煙草を吸うなど、喫煙シーンが不必要に多いのが気になった。
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