ウェンディ&ルーシーのレビュー・感想・評価
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鼻歌まじり
ウェンディを見ていたら「ノマドランド」が霞んでしまいそう、あんなコミュニティが側にあったら近しい者と協力して独りで乗り越える厳しさも少しは、、、。
予定外の出費やトラブルの連チャン、少ないお金を差し出す、まだウェンディの方が持っているかも、助手席の彼女に気付かれないように、車の後ろはベッコベコに潰れている、警備の爺さんが粋で格好良い、ウェンディの希望となる存在感、でも何にもならない無力さが残酷にも感じられ。
これは愛犬家が見たら無責任と怒るだろうか、無計画の旅は愚かだと呆れるのみか、誰が悪い、国?政治家?富裕層?
皆、少しの優しさがあれば、誰かは救われる、筈。
ノマドでもボーボーでもない、不確かな目的地点にブレながらスタートを切ったばかり。
停滞から物語を真逆に転換しての突破、とかなり大胆なことをしている。...
停滞から物語を真逆に転換しての突破、とかなり大胆なことをしている。が、抑制された演出とカットで下世話に感じることが全くない。映画のインプットとアウトプットからくるセンスと少しの政治性を感じる。
孤独にもがき苦しむポートレート
犬と車、木々。現代アメリカを漂流する、さまよい歩く。またしても名もなき人々の(当人からすると大変なことであっても)些細な日常にスポットを当てる。前作『オールド・ジョイ』を見て監督に惚れ込んだらしいミシェル・ウィリアムズ主演作。彼女はハーフパンツにパーカーでボーイルックな見た目で、イエローゴールドな相棒(前作に続き)ルーシー AS HERSELF とアラスカに向かう道中。修理屋ウィル・パットンがどういう役回りだったのか分かっていないけど、朝8時から夜8時まで立っている警備員さんのおかげで人の優しさに触れる。うまく説明できないけど、無力さを感じるように虚しくも、感じ入るものがあった。余韻。彼女のその後を応援したくなるけど、彼女みたいな立場に置かれた人々は他にもいる。
WE FIX CARS
GONER
勝手に関連作『イントゥ・ザ・ワイルド』『ノマドランド』『荒野にて』『足跡はかき消して』
旅をしないロードムービー
なんと、旅をしないロードムービーであった。
仕事を求め、低コストな生活を送るためにアラスカに向かったのに、悪循環が生じて、ある田舎町で身動きが取れなくなる。
自分が時々見る、物事が全然進まずに苦悩する悪夢を思い出した。
この映画が面白いのは、加害者がいないことだ。田舎町は、とてもノーマルで、善意の人もいる。
問題は、すべてウェンディ自身と、彼女の貧困に存在する。
金をケチった万引き。20年前の車。ルーシーをあきらめれば、旅を続けることだってできる。
それゆえ、孤独で厳しいウェンディの境遇にもかかわらず、どこかさわやかで、自由な空気が感じられ、見終わった後で、何とも言えない後味が残った。
どこか70年代のアメリカ映画を思わせるような雰囲気。古風なラストシーンには、ある種の映像美が感じられる。
アート系作品であって、リアリズムを追求した映画ではない。
原作は、この映画の舞台でもあるオレゴン州在住のJ.レイモンドの短編集「居住性(livability)」とのこと。
ライヒャルト監督は、“ミニマリスト”スタイルの、地方社会の労働者階級を描くインディペンデント系の女性監督だそうだ。
特に何と言うほどのことのない映画ではあるが、ライヒャルトは登場人物の感情を、少し受け流して表現するのが上手い。それでいて、感情はしっかり伝わってくる。
感情表現となると、意味もなく下品な表現を好む日本の映画とは、肌合いが異なる。
もう少しライヒャルトの映画を観てみたいと思った。
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