「月にナチスはもう居ない? いえいえ、今度は地球の内部から攻めてきた!」アイアン・スカイ 第三帝国の逆襲 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
月にナチスはもう居ない? いえいえ、今度は地球の内部から攻めてきた!
ナチスドイツの残党が月の裏側に秘密基地を造り、遂に地球に侵略して来る…!
こんなB級C級レベルの話を思い付くのは、天才か、バカか。
それを本当にやっちゃったのが、『アイアン・スカイ』。その続編。
2018年。月面ナチスとの戦争とその後引き起こした核爆発により荒廃した地球。生き残った人類は皮肉にも、月の裏側へ。共存。
それから30年。エネルギーは枯渇し、“スティーブ・ジョブズ教”なるカルト教が勢力を伸ばしていた。
ある日地球から一隻の難民船が。その中に何と、かつてのあの月面総統の姿が…!
実は総統は人類を創造した異星種族で、地球の内部には空洞都市があり、そこにある未知のエネルギー“ヴリル・ヤー”を使えば、月面世界を救えるという。
勇敢な機関士オビは、仲間と共に地球の内部に向かうのだが…。
B級C級なノリはそのままに、今回は大胆に趣向は変えて。
前半は50年代60年代のSF風。月の基地とか、SF好きなら誰もが想像した事ある。それを今更恥ずかし気もなくやっちゃうのが、『アイアン・スカイ』。
中盤は言うまでもなく、ジュール・ヴェルヌの『地底旅行』。地底に広がる太古と未知の世界でのスリルな冒険。そこには恐竜、人を食らう異星種族、さらには歴史上の人物まで…!?
月に帰還。手に入れた“ヴリル・ヤー”を巡って、オビ、総統、異星種族の決戦! 果たしてオビは月面世界を救えるのか…!?
今回も面白いのは面白い。このバカバカしさ(←誉め言葉)はもうクセになる。
よくぞこんな下らない話を思い付いたもんだ。(←誉め言葉)
頭空っぽにして見れ、気楽に楽しめるのだけれど…、
何故だろう、前作には及ばない。
幾ら今回、スケールやCGやアクションがアップしても、歴史上の人物の正体が異星種族というびっくり仰天であっても、アノ独裁者がアレに乗って暴れても(って言うか、このシーン、終盤ちょこっとだけ…)、こんだけ沢山の新要素や新設定を盛り込んでも、前作の“ナチスの残党が月の裏側に秘密基地を造り、攻めてくる…!”のインパクトに勝るものはない。
やはりこの手の作品は、最初のアイデアの一発勝負。
ついでに言うと、風刺や笑いも今回ちと不発だったかなぁ、と。
それに、前作でその美貌で魅了したユリア・ディーツェがヒロインじゃなかったのも残念。まあ、舞台が30年後だから仕方ないけど…。
何だかんだ上げたり下げたり言ったけど、次もあるならやっぱ見てみたい。
あのラストシーンの通り、次は赤い惑星…?
何だかどんどん本来の設定から遠くなっていってるような気がするけど…。
近大さんへ
やはり、一作目のインパクトのデカさと来たら「おバカ映画の歴史」に残るレベルでしたからねw
続編は難しいんでしょうが、三作目に期待してます。目指せシャークネード!