ソウル・ステーション パンデミックのレビュー・感想・評価
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ゾンビより怖いものだらけ
ソウルの街が丁寧に描かれている。
駅や警察の人らのホームレスへの冷たい対応をみて、最初からゾンビが出てくるのだがゾンビ映画ではないとわかる、
ソウルの住宅事情の厳しさもあり,アパートがあっても家賃払えないから住む家なんてない、同じ貧しい恋人同士かと思えば金がないから男は女を食い物にする、お父さんが探しに助けに来たと思ってみていたら、、、ゾンビは、映像に緊迫感がありドキドキするのだけど、実はゾンビなんて可愛いもので、持てるものが持たざるものを,男が女を、権力が権力に対峙するものを最も簡単にゾンビの一噛みのごとく、蹂躙し侮辱し見捨てたり殺したりするのだ。同じ方向に割った脇目も降らず走り出すゾンビは私たち愚かな市民だ。ゾンビより恐ろしく、反体制運動かなにかバリケードの内側にいる学生や市民を、最初は警察機動隊が、さらには軍隊が取り囲み発泡。ソウル駅周辺のゾンビ騒動なんて知らんぷりだ。正義の闘争をしてるらしきバリケードの中にもなんの根拠も知性も人間性もなくマウント取ろうとするオヤジがいる。ゾンビにかじりつかれる前の人間の方がよほどやばい。最後に逃げ込んだ高級マンションのモデルルーム。住むところがない人たちがさんざんいて、誰もすまない飾りだけの広々とした高級マンションが皮肉の様にたくさんの扉を構えて空虚にある。韓国の話ではないと思う。思えよ。頭が悪い政権与党にいつまでも権力を持たせ続けるこの国のことでもあるから、せいぜいみんな見て,少しは考えようよ。ゾンビより恐ろしく愚かなものに囲まれた私たちの社会よ。
底辺の描写がやるせない
「新感染」の前日譚ということで、気になって観ました。
なんの武器も持たない庶民が逃げまどう緊迫感のあるゾンビホラーで、楽しめました。
そこへ、社会の底辺で生活する人のリアルな描写、市民を切り捨てる国家権力と、社会問題に対する視点があるところも印象深いです。
怪我をしても助けが得られないホームレス、風俗で働かねばならなかった家出少女など、底辺のリアルが辛いです。
ホームレスに家出少女と、貧困の中で家を求める人達を描き、クライマックスにたどりついたところが、誰も人のいない超高級マンションのモデルルームとか、格差社会の皮肉にやるせない気持ちになります。
クライマックスの展開も、個人的には全く予想外のどんでん返しで、良い意味で裏切られました。
もうゾンビホラーじゃなくて、バイオレンススリラーだろ、という感じで。
アニメーションとしては、リアルな人物描写は良いですが、個人的にはCGっぽい動きや色などはあまり好きではありませんでした。
アニメーションならでは、というところも、特に無かったように思います。
リアルな不穏な緊迫感のある演出は、やはりハラハラドキドキさせられて、良かったと思います
ちなみに、シリーズの「新感染」「新感染半島」は鑑賞済みです。
個人的には、この中では「新感染」が一番面白いと思っています。
「新感染半島」と本作となると、ストーリーなど本作の方が面白いと感じました。
「新感染半島」のラストは、ちょっとイマイチな気がしましたが、本作を観た後だと、最後の最後はそういうラストにしたいよな…、と思えました。
誰にも感情移入できない
ちょっとね、バッドエンドはいいにしても、最後のモデルルームほど盛り上がらない終わり方はない。
正体が風俗店の店長もあんな危険を冒してヘスンを追うのも不自然だし、ヒモ彼氏があんなに一生懸命に彼女を探すのも不自然。展開もダラダラしてるし、新感染の前日譚でもないし、ただのパクリ映画って感じだった。
新感染と同じ監督とは思えないほど酷かった。海月姫見ればよかったな。
タイトルなし
何も分からず襲われる恐怖、恋人や家族を案じる人、そこにつけこむ汚い人間、貧富の差の惨さ、そして因果応報とゾンビより人間の方が怖いというのはよくある話だけど、悪くなかったと思います。
ただ、悪い点も。全てにおいてモーションがいまいち。ヘスンの走るモーションとかどう考えても危機感のない走り方してて、そんなんじゃ余裕で追い付かれるよってモーションなのに全速力のゾンビは追い付けないし、駅のシャッターを弱ったじいさんと女の子で持ち上げられる訳ないし、とにかくこの人たちドアを閉めない(笑)ボロい旅館の扉すらゾンビは簡単には開けられなかったんだから、ヘスンがビルから逃げてる時に扉さえ閉めてれば助かる、もしくは延命は出来たはずなのに。これが序盤だったりもう追い付かれる寸前ならまだ分かる。でも、もう終盤で且つ屋上まで逃げて追い付くのに結構時間あったのにも関わらず出来なかったのは、決まってるオチに持っていくために描いてると思ってしまうし、例えそうだとしてもそう思わせちゃうのは勿体ないと思う。モデルルームの窓が都合よく空いてる謎(笑)モデルルーム手前のビルはガラスを割って侵入してるから余計に目立ってしまった。
この作品、新感染の前日譚なのですが、先に新感染を観ていたので、感染源が分かると思って観賞したのですが、こちらもしょっぱなから感染してる所から始まり、何も解らず終わってしまった。新感染の続きがあるならまだ良いけど、これで無かったら微妙すぎるかな。ゾンビ映画なんてそんなもんと言ってしまえばそうかもしれないけど、前日譚と謳っておいて核心に突くところが何もないのはちょっと。
文句も多いし点数も低いけど、嫌いではないです。寧ろ最後のオチとか誰も報われない感じとか好きでした(笑)
爆走前夜に何があったのか?
レンタルDVDで鑑賞。
「新感染 ファイナル・エクスプレス」の前日譚。
韓国のアニメを初めて観ました。
本作で感染爆発が拡大して行く経緯と、「新感染」で特急列車が発車しようとする頃、ソウルでは何が起こっていたのかが明かされました。
製作順としては本作の方が先ということで、完全に本編のパイロット版という感じ。まさに出来の良いプロローグだなぁ、と…。ここから実写映画に繋げようとした発想に拍手!
本編はアクション重視でしたが本作は恐怖描写重視。ひたすら追い掛けて来る感染者の群れ。どこに行っても湧いて出て来る…。列車の中じゃなくても人間に逃げ場は無し…。
そんな混乱に満ちた市内をサバイバルする女の子が主人公。彼氏にネット売春させられそうになるほど困窮しております。感染拡大の要因となるのもソウル駅に住むホームレスたちでした。駅員に助けを求めても取り付く島も無し…。
韓国の社会情勢について詳しくはありませんが、相応の風刺が籠められているのかなと感じました。軍による街の封鎖、感染の疑いのある人々の封じ込め作戦は狂気の沙汰。戒厳令が発令される中、感染者の数は増大する一方。絶望感も急上昇!
ラストのあっと驚く展開に度肝を抜かれました。
こういう作品でそれ持って来るかぁ…みたいな(笑)
感染とドス黒い社会縮図の始まり
『新感染 ファイナル・エクスプレス』の前日譚アニメ。
『新感染~』でニュースでチラッと描かれていたソウル駅周辺の“暴動事件”。無論暴動事件などではなく、爆発的感染の始まりが明かされる…。
監督のヨン・サンホは本来はアニメーションの監督。なので本作が本来のフィールドで、その手腕をたっぷりと披露。
アクションやテンポやスケールはあちらかもしれないが、えげつなさはむしろこちらの方が強烈。
緊迫感や絶望感も充分だし、ゾンビやグロ描写もなかなかのもの。
キャラ造型や画のタッチも客媚びや萌えとは一切無縁で、ハリウッドや日本の超人気アニメが好きな人は間違いなく拒絶反応起こしそうだが、作風にぴったりのこのタッチがとてもいい。
えげつないのは人間模様。
『新感染~』でもクソゲスのバス会社重役が居たが、本作で描かれる人間描写は韓国社会の縮図。
貧乏人、下層階級、ホームレス…。
そういった人々への社会の冷酷さ。
見下し、突き放し、助けを求めても助けようとしない。それどころか、「失せろ、クソが!」と罵る。
本当に韓国社会や韓国人ってこうなのか…?
勿論そうではない人々も大勢居るだろうし、日本やアメリカにだってそんな連中は絶対居る。
別にこれは韓国映画云々ではなく、世界何処にでもある格差・権力の振りかざしを、極限状態下に置き換えて、人のドス黒いエゴを絡ませて、痛烈に描いているのだ。
単なるアニメーション監督じゃなく、社会派アニメーションの名に偽りは無い。
実を言うと、期待してたものとはちょっと違った。
『新感染~』でもチラッと触れられていた感染の原因が描かれるのかと思いきや、『新感染~』直前の別場所で起きた事件。感染の原因ではなく、感染の始まりといった感じ。
主人公の若い女性の声を若手実力派のシム・ウンギョンが担当し、『新感染~』での“駆け込みゾンビ”も彼女が演じていたので、ひょっとして同一人物?…など鮮やかなリンクや繋がりを期待していたが、そうでもなく。
『新感染~』の方がエンタメ度が高く、途中まであちらの方が面白いかなと思っていたら!
クライマックスで衝撃の大化け!
ヒモ恋人と喧嘩し、ソウルの街をさ迷う内にゾンビに襲われるヘスン。
そんな彼女をヒモ恋人と彼女の父親が助けようとするのだが、この父親が…!
この後味の悪さ、これこれ、これぞ韓国映画の味!
ヨン・サンホ監督にはアニメと実写両方で手腕を奮って貰って、エンタメは勿論、強烈に世に怒りを訴えていってほしい。
で、『我は神なり』は本作を上回る強烈なえげつなさなんだとか。
一体、どんなもんなんじゃ…。
追記
ちょいと調べてみたら、シム・ウンギョンの役は同一人物なんだとか。
でも、それにしては服装も違うし、こちらは最後完全にゾンビになるのに、あちらではゾンビになり始めで、ちょっと辻褄が…。
前日譚と言うから「新感染」にてウィルスが一体どこからどういうきっか...
前日譚と言うから「新感染」にてウィルスが一体どこからどういうきっかけで何故感染するようになったのかなどわかると思ったのに結局わからず終い。
主人公の女が「新感染」にて駆け込み乗車してきた女なのかと思いきやラストでしっかりゾンビになるから結局違う。
「新感染」にて謎だったホームレスの人も出てくるのかと思いきや別に出てこない。
全然話繋げてなくて幻滅しました。前日譚というからにはしっかり本編に繋がるように作って欲しいです。「新感染」とは別世界観のゾンビ作品だよ、と言えばそれまでですがだったら前日譚とかいう触れ込みをしないで欲しいです。
ただ社会派、風刺ものとしては良かったと思います。そこを強調してほしかったです。
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