「お調子者の成り上がりコメディ」バリー・シール アメリカをはめた男 バッハ。さんの映画レビュー(感想・評価)
お調子者の成り上がりコメディ
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映画から教訓を得ようなんてある意味さもしいことであるし、特にこの主人公から何かを学ぼうなんて考えるのはムリがある。お調子者で、つい危ないことに手を出したがるバカな男が、とんでもない大金を手にして、やがて破滅していく。ストーリーだけを要約するとそれだけの話だが、コレがやたらと面白い。
そもそもトム・クルーズの持ち味は正義の味方でも超人的なヒーローでもなく、自意識過剰で自信過剰な憎めない男。その魅力は本質的には愚か者である本作のバリー役でも存分に活かされている。
そしてバリーが転落に向かうのは、盛者必衰というより自業自得に近いのだが、実は本当の責任は裏で糸を引いていたCIAにある、という告発の映画でもある。ただ政治的なテーマを扱いつつも、説教くさくなるより可笑しなブラックコメディに仕立てたダグ・リーマンにも、作品の方向性にちゃんと自分自身を合わせてきたトム・クルーズにも拍手を送りたい。
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