「美少女と野獣」スプリット 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
美少女と野獣
長い迷走を経て、前作『ヴィジット』でスリラーに復帰して好評を博したのは、“あれ一回だけ”では無かったようだ。
決して完全無欠の傑作とは言い難いが、ツッコミ所も含め、これぞM・ナイト・シャマラン!…とでも言うべきトリッキーなスリラー!
突然誘拐され、拉致・監禁されたケイシーら3人の女子高生。
3人を誘拐した男、ケヴィンは…
多重人格者。しかも人格数は、23人!
潔癖症のデニス。
エレガントな女性パトリシア。
社交的な服飾デザイナーのバリー。
9歳の少年ヘドウィグ。
…などなど。
多重人格者の性格や特徴については、よく「まる見え」や「仰天ニュース」や「アンビリバボー」などで紹介されているので一応は知ってるつもり。
暗い場所(潜在意識?)で各々が取り囲んで順番を待ち、“照明”を当てられた者が“表”に出る。
表に出たら、性格も性別も年齢も知能も体力も変化。本当に“別人”に。
軟弱だった者が力持ちになったり、見た目幼い者が高度な問題をスラスラ解く。
TV番組で実際の多重人格者を何度か見てるので、嘘とかただの演技とか一概に言えない。
劇中の女医の“超能力”の指摘には思わず唸った。
演じ分けたジェームズ・マカヴォイに圧巻!
話し方、雰囲気の変わりようがスゲェ…!
ケイシーたちも脱出を試みる。
他の2人は強行突破するが、失敗。
ケイシーは9歳のヘドウィグの協力を得ようとする。
ドライで冷静沈着、それでいて他人に関心が無いように見えるケイシー。
同時進行で明かされる彼女の幼少時のトラウマ。
演じるアニヤ・テイラー=ジョイがキュートで魅力的。
また、ケヴィンにはもう一人、知られざる“24人目”の人格が。
他の人格も恐れる“ビースト”とは…。
多重人格×サスペンスという題材はシャマランにもってこい。
今作もシャマラン節を堪能出来たが、何と言うか、我が道を行っちゃうと言うか、「ン?」と思っちゃう点もまたシャマラン。
まず、23の人格と設定しておきながら、劇中ではほんの数人しか登場しないのは、オイオイ!
問題の“ビースト”がちょいと現実離れ。
ケヴィンとケイシーの非常に興味深い緊迫感溢れる心理戦かと思いきや、クライマックスはオカルト風のvsビースト。
なるほど、度々挿入されるケイシーの幼少時の父親との狩猟エピソードはそれに活き、実は似たような過去のトラウマがある両者の内面の掘り下げ、“ビースト”を具現にしてのトラウマへの立ち向かいにもなってはいるが…、本当にそれらを鮮やかに狙っていたかは疑問。
謎、仕掛け、消化不良、ハッタリ…まあ、それらぜ~んぶ引っ括めて唯一無二のシャマラン作品なんだけどね。
ラストのある人物の登場とある作品との繋がりはすでに耳にしていたが、別の意味で驚き。
まさかシャマラン作品がユニバース展開になるとは…!
言うなれば、“MNSユニバース”?
人格が変わる時の演技はホントに圧巻でしたね。ミスター・ガラスを観たくてアンブレイカブルとスプリット観ましたがミスター・ガラス未だ観てません😭
早く観なくてはっ‼️