「空腹の羊飼い」ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ たろっぺさんの映画レビュー(感想・評価)
空腹の羊飼い
人と物に忠実な楽曲と、喜劇の様な役者の表情・仕草により、すんなりと作品の中へ入り込める。
また本来の目的であるシェイクのミキサー販売とは真逆に位置する粉シェイクへ走るという末尾への伏線もシンプルで隙がない。
本作の主人公はクロック氏だが、視点はややマクドナルド兄弟側に寄っており、兄弟に牙を剥くきっかけとなる具体的なエピソードが抜けている為、ひとつ紹介させて頂く。
クロック氏がオープンさせたシカゴ店は、本店であるカリフォルニアの様に乾燥した気候では無い為、規定通りにフライドポテトを作ってもカリカリに揚げる事が出来ず、評判が悪かった。
試行錯誤の末、ポテトの入った箱の周りに扇風機を幾つも置き、風を通す事でポテトを乾燥させる事を考案。
何度も兄弟に説得を試みるも、契約書を楯に悉く遇らわれた。
結局、独断で実施し窮地を脱したのだが、その時のシカゴ店は利益配分も合わさり、倒産寸前まで追い込まれていた。
如何に不平等とはいえ自分の意思で契約書に判を押した以上はそれを遵守すべきであるし、家を抵当に入れた為に窮地へ追いやられた事は自業自得と言えるが、兄弟も利益はしっかり頂くのに、現場の意見を真摯に受け止めなかったという落ち度はある。
怪物か、英雄か。
いずれにせよ、鏡にくっきりと写る人生を歩みたいものだ。
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