「奇行を繰り返す父と野心家の娘が繰り出す爆笑と感動が眩しい」ありがとう、トニ・エルドマン よねさんの映画レビュー(感想・評価)
奇行を繰り返す父と野心家の娘が繰り出す爆笑と感動が眩しい
中学の音楽教師ヴィンフリードはくだらないシャレが大好きなダメ親父。一方ブカレスト在住の一人娘イネスは真面目で野心的なコンサルタント。愛犬ウィリーの死をきっかけに休暇を取ったヴィンフリードはアポなしでイネスの勤務先を訪問、強引にイネスの家に転がり込むがギクシャク感に耐え難くなったヴィンフリードはイネスの元を去る。普通の生活を取り戻したイネスは女子会に出かけるが、そこで話しかけてきたトニ・エルドマンと名乗る長髪の奇妙な男はカツラと入れ歯で変装した父ヴィンフリードだった・・・から始まるコメディ。
娘と真正面から向き合えない父と仕事に没頭する余り周りが目に入らない娘。随所に滲むルーマニアの国情を背景に、イネスに「お前は幸せなのか?」と無言で問いかけながらヴィンフリードがとあるホームパーティで突然キーボードを奏で始めるのが某有名曲の旋律。渋々歌い始めるイネスの姿に観客一同が感動にむせび泣いた後、父娘が繰り出す奇行の数々に今度は大爆笑の渦に叩き落とされる、そんなアップダウンの激しい問答無用の大傑作です。
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