「映画館で声を出して笑ったのは久し振りでした」泥棒役者 みかりんさんの映画レビュー(感想・評価)
映画館で声を出して笑ったのは久し振りでした
西田征史監督が脚本・監督を手掛けた映画はこの作品で2作目。元々舞台化されていたものをリメイクして作られています。
監督のご両親が「最近映画館で声を出して笑える作品ってないよね」と嘆いていたのを受けて50代・60代でも笑える、全ての世代の人に観て貰える作品を目指してこの作品を作ったのだそう。
映画の内容はとてもシンプル。登場人物も少ないので良い意味で変に頭を使わずに見れます。
市村正親演じる「絵本作家」と丸山隆平演じる「元泥棒」の掛け合いが本当に面白いので恥ずかしがらずに声を出して笑う事をお勧めします。
登場人物は皆んな個性的、だけど憎めない。舞台版ではあまり描かれていなかったそれぞれのバックボーンがこの映画の中では分かりやすく描かれています。
この映画の中で、過激なシーンはひとつもありません。自分たちの日常に似ている。でもそれでも登場人物は少しずつ前を向いていきます。それを感じ取ったときに自然と涙が溢れてきます。
誰しもが、今の自分で、このままで良いのかと心のどこかで悩んでいる。それをこの映画の主人公である、丸山隆平演じる元泥棒と出会う事で登場人物たちが自己を固定できるようになっていく姿を見て、見終わるときに「では、私はどうなんだろう?」とふと考えるキッカケになりました。
刺激的な映像や、非日常的なストーリーを好む人にこの作品は合わないと思います。
ただ心が疲れてしまって、癒されたいなぁと思っている人には是非観て欲しい。どハマりする作品だと感じました。
映画館という閉鎖的な空間で観ることにとても価値のある作品です。
自分の人生まだまだこれから!!と明日から前を向いていこうと思える、そっと優しく背中を押してくれる素晴らしい映画ですよ