「期待はずれでした」愛を綴る女 ピンクマティーニさんの映画レビュー(感想・評価)
期待はずれでした
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美しさと実力を兼ね備えたマリオン・コティヤール主演とあって、期待して鑑賞。
しかしエキセントリックなヒロインには感情移入できませんでした。
私たちの祖母や曾祖母が生きた時代は、結婚よりも恋愛の方が珍しかった時代です。結婚は誰でもできたけれど恋愛は憧れでもあった、現代とは異なる時代です。
だからヒロインが恋に恋して、恋に憧れ、心も身体も燃え上がるような熱い恋愛がしたいというのは想像できます。
でも劇中では、発情した頭のおかしい若い女、という印象しか伝わらないのが残念でした。
療養所で出会った若い男と恋に落ちたのも、彼にどのような魅力を感じ、お互いにどう惹かれ合ったのか、伝わってきませんでした。
ラストはすべてが彼女の幻想だったとわかり、ホラー映画を見るようでした。すべてを知りながら、夫はなぜ彼女を見捨てず見守ったのか。
ヒロインの一方的な愛とは対称的な、見返りを求めない愛として描かれていましたが、夫のこれは愛でしょうか。愛というより保護者的な感覚のように思えます。
映画は、ブルーが印象的に使われていましたが期待したほどの映像美はなく、マリオン・コティヤールは身のこなしがドタドタとして、おばさんっぽかったのが残念でした。フランス映画にありがちな恋愛至上主義、狂気の女的な描写は既視感があり、退屈でした。
しかし鑑賞後、調べてみると、この作品の原作はイタリアで、時代設定ももっと遡るのですね。あらすじを読んで俄然興味が湧きました。原作の方が奥行きがありそうです。機会を見つけて読んでみたいと思いました。
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