「興行師から学ぶ 芸術の真理」グレイテスト・ショーマン ほら貝さんの映画レビュー(感想・評価)
興行師から学ぶ 芸術の真理
貧乏な仕立て屋の息子であったP.T.バーナムは、奇人などを集めた物珍しいサーカスを開き、19世紀半ばのアメリカで興行師として名を馳せていく。幼い頃から想い合っていた妻・チャリティと娘2人を幸せにしようとさまざまなチャレンジを試みるが、周囲の人間への配慮を欠いたことで妻子やサーカス団員との信頼関係にヒビを入れてしまう。再起をめざす彼が辿り着いた芸術の真理とはー。
サーカスには、大男や小男、ヒゲの生えた女性など、マイノリティたちがバラエティ豊かに集う。終演後には一部の人間からガラクタを投げられ、「出て行け」と罵声を浴びる彼ら。それでも彼らは怯まずステージに立ち、個性を表現することを諦めない。
貧乏な生まれのバーナムと、裕福な家庭で育ったチャリティの結婚生活。バーナムは、周囲の評価を気にするあまり、チャリティの気持ちをなおざりにしてしまう。成り上がりのコンプレックスを断ち切ろうとするバーナムと平穏を求めるチャリティの心の距離は離れるばかり。
仕事のパートナー、妻子、団員に愛想をつかされたと落ち込むバーナムだったが、過去に開いたサーカスが観客を楽しませていたことを思い出し、再び興行師としてやり直すことを決意する。
作中では、マイノリティが差別を受ける場面が多くあり、はっきりとした社会的メッセージを感じる。この映画自体、「奇人を集めたサーカス」を開いた主人公の話であり、そもそも受容できない人もいるかもしれないが、マイノリティをタブー視せず、1つの個性として表現した勇気はもっと評価されても良いのでは。