「何目線観ればよいのか…」レッド・スパロー いけいさんの映画レビュー(感想・評価)
何目線観ればよいのか…
全体を通してまあまあ凝って創られていたのかもしれないが、個人的にはどこをどうとってもどうしても安っぽく感じてしまった。特に「スパイ養成所」の教育方針にはマジでドン引き。そんなんでいいの?いいわけないでしょうよ…シャーロット・ランプリングもこの役は断るべきでは(笑)
そして、やたら複雑に入り組んだどろどろシリアスストーリーも、結局は無用の長物になっていないか。二転三転もあまりドキドキせず、とにかくどこもかしこも刺さるとこなし。
この内容で上映時間140分はやたら長過ぎでしょ…90分でじゅうぶん収まるし、その方がむしろスタイリッシュに映り、何だかんだもう少しは評価が上がったのではと思ってしまう。
正直下心ありきでチョイスした作品であることは隠しきれない事実だが…それにしてももう少しどちらかにしっかり振り切るべきだったのではないだろうか。
コメントありがとうございます。
この作品は主人公の目的に大どんでん返しが仕込まれています。
主人公の今の価値観が変化することで、それに合わせて行動も変化します。
最初は自分自身のこと 母のこと 仕事の苦渋とそこに存在する叔父への怒りが平行線で仕組まれ、やがて亡命という希望、そしてそんな祖国を変えたいと本気で思っている人物との出会いが、彼女の認識を変えてゆきます。
個人的に相当好きな作品です。
ただし、作品に仕込んである叔父とプーチンの類似とアメリカが正しくてロシアは悪いという概念だけが受け入れられませんでした。
実は私はこの作品を推しています。
バレエダンサーからスパイへの転向は、あまりに世界が違いすぎ、彼女は叔父の案に乗らざるを得なかったにもかかわらず、終盤までずっと葛藤していることが伺えます。
そんな中で気づく内通者の存在。そして彼からのメッセージ。
「こんな国なんて」そう思っていたはずの彼女は、内通者が「この国の未来」を本気で望んでいることに気が付きます。
それらすべてを知った上で、彼女は内通者になるわけです。
自己犠牲と崇高な理念が彼女の中に芽生えるのです。
この作品はかなりできています。
叔父役の男はどう見てもプーチンです。
あたかもCIAが正義として、資本主義が正義として描かれてます。
作品そのものはすべていいのに、そこに洗脳要素が入っているところが悲しかったです。