「またまた「カントリーロード」!」キングスマン ゴールデン・サークル kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
またまた「カントリーロード」!
『エイリアン:コヴェナント』、『ローガン・ラッキー』に続き、ジョン・デンバーの名曲が今回はかなりフィーチャーされていた。よく注意してみると、冒頭の音楽からそのメロディが隠されているのです。音楽に関して言えば、今回は豪華なゲスト、本人役としてエルトン・ジョンが登場している。彼は悪の組織ゴールデン・サークルに誘拐されているという設定で、スクリーンではかなり登場しているのです。エルトンの「土曜の夜は僕の生きがい」などの曲も聞けるのですが、ポニー(ジュリアン・ムーア)が飼ってるロボット犬がベニーとジェットだったので「ベニーとジェッツ」がかかれば最高だなと思いきや、聞かれませんでした。しかし、明らかにエルトン・ジョンを意識した犬のネーミングですよね。
キングスマンの候補生だったチャーリーがポニー率いる組織ゴールデン・サークルに下り、エグジー(タロン・エガートン)を付け狙う。なんとか振り切ったもののチャーリーが落としていった義手によりキングスマンのデータにアクセスされてしまう。そして、一斉のミサイル攻撃によりキングスマンの組織は壊滅状態になった。生き残ったエグジーとマーリン(マーク・ストロング)はひょんなことからアメリカに飛び、製造業者ステイツマンを訪ねるのだ。そこはキングスマンと似たような組織で、シャンパン(ジェフ・ブリッジス)、ウィスキー(ペドロ・パスカル)、テキーラ(チャニング・テイタム)、ジンジャー(ハル・ベリー)というコードネームで暗躍していて、彼らに協力を求めたのだった。そこで前作で死んだと思われていたガラハッド=ハリー(コリン・ファース)に出会うが、彼は左目を失い、記憶喪失の状態だった。
カンボジアに本拠地を持つゴールデン・サークルは、ポニーの趣味でボーリング場などもある50年代のアメリカをモチーフにした基地。地雷があちこちに埋められ、ロボットも活躍する。残忍なポニーは使えない部下をミンチにしてしまうというおぞましさ。そんな彼女は世界中の麻薬にウィルスを仕込み、麻薬中毒患者を根絶しようと企んでいたのだ。まさしくサイコパスの彼女はついにメディアに登場して米大統領(ブルース・グリーンウッド)に直接交渉を持ち掛ける。しかし、解毒剤の取引に応ずる姿を見せながらも大統領は麻薬患者を絶滅させればいいという闇の心も見せていた・・・
エグジー、ハリー、ウィスキーは解毒剤を奪うため独自の行動を開始する。雪山のゴンドラでかなりのアクションが楽しめるが、仲間割れのごとく、ハリーが「こいつは敵だ」と言い放ってウィスキーを銃で撃ってしまう。
前作はかなりまとまっていて、面白かった印象が残るのですが、今回は人が死にすぎていて、ハチャメチャ感があった。もちろん前作でも花火のように人の頭が吹っ飛んではいたが、仲間はそんなに死ななかった。1作目に出てくる台詞に「007は初期の方が良かった」という言葉も、あまりにも現実に近いシリアスな設定だと楽しめないものだとして、非現実的な悪者をやっつけるという単純な構図が今回も踏襲されている。のだが、人を死なせたり生き返らせたりする命の尊厳の無さはちょっといただけない。地雷を踏んでしまうシークエンスでは、過去にエグジーの父が皆を救ったシーンを被せることによって泣けるシーンにもなったと思うが、その直後にはミンチマシーンでのむごたらしい死のシーンがあるので、なんだかホラー映画なんじゃないかとも感じてしまいます。悪ふざけしすぎですね・・・