「「未熟者」を悪と言ってしまうプリキュア」映画キラキラ☆プリキュアアラモード パリッと!想い出のミルフィーユ! CFRさんの映画レビュー(感想・評価)
「未熟者」を悪と言ってしまうプリキュア
今回の敵役・クックの行動は、
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お菓子作りをするが出来が悪く理解されない
→逆恨み(おいおい)
→ジャン=ピエールに才能を理解される(よかったね)
→ジャン=ピエールを利用して暴れる(おいおい)
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という感じですが、このフローに対してプリキュアの言動が対応していないと思いました。
上記のように、クックの間違っているところというのは「逆恨み」と「自分を認めてくれたジャン=ピエールに対する裏切り」なのですが、その双方に対して誠実に対応しているとは言えず、プリキュアはひたすらクックを「人に迷惑をかけるな」という理屈でボコボコにして、ジャン=ピエールの洗脳を解こうとするだけなのでした。
この違和感は、何というのか最初から「クックはボコボコにすべき敵である」「ジャン=ピエールは完全に洗脳されている」という前提で話が進んでいるのが問題なのだと思います。クックは別に話の通じない獣ではないのですから、ひとまず説教するのが正義の味方なのではないでしょうか?ボコボコにするのはそれからでも良かったと思います。
ジャン=ピエールに対しても、プリキュアから見れば洗脳されていても本人は本気で究極のスイーツを作ろうとしていた可能性もあると思います。まあ、仮にジャン=ピエールが本気でクック側につくならプリキュアはジャン=ピエールとも戦うことになるはずで、そうなるとお子様向けアニメとしてはちょっとハードになる気もしますが。
そして、終盤のキュアパルフェの「あんたのはただの自己満足なのよ」というセリフがとても引っかかりました。プリキュアがそんなこと言っていいんでしょうか。
察するにキュアパルフェの言い分は、ジャイアンに「音痴のくせにリサイタルなんてすんな」ということなんですが、その場合私にはどうしてもジャイアンが悪人とは思えないのです。
このプリキュアで言えばモチーフはパティシエとかお菓子作りといったことなわけですけど、それにしたって「自己満足」というのは何かするという時に何にも先立つ感情です。それを悪と断じるのは器用な人のエゴイズムだと思います。
「レベルの低い創作物を他人に押し付けて良い評価を強要するな」というのは、たしかにそうなんですが、その場合そういう行動をとっている人に必要なのは「その人から創作活動を取り上げること」ではなく「的確なアドバイス」のような建設的な意見なのではないでしょうか。
要するに、キュアパルフェはお菓子作りが上手なのかもしれませんが、だからといって「お前はヘタクソの自己満野郎だからお菓子作りなんてやめちまえ」と言っていい権利なんてないんです。実際そこまでは言ってませんが。
わかりやすく笑える箇所がいくつもあって、見るには飽きないのですが、上記のような点が気になりました。