「「ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜」のNASA版」ドリーム マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
「ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜」のNASA版
黒人のメイドを扱った「ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜」(2011)と同じく60年代の人種差別を背景に、アメリカの有人宇宙飛行の歴史を追ったお話。
「ヘルプ」同様にトイレが白人との共用が許されていない。白人技術者は黒人が自分らと同じレベルの仕事をするなどもってのほかという考えがモロ丸出し。
有能な数学の天才キャサリン(タラジ・P・へンソン)、エンジニアのメアリー(ジャネール・モネイ)、計算手ドロシー(オクタヴィア・スペンサー)の仲良し3人組も、雑用のような計算手の狭い事務所に缶詰の毎日という理不尽さを前半でたっぷり描く。そこはよくあるお決まりコースなんだが、『いまに見ておれ』みたいな「忠臣蔵」のDNAを持つ日本人としては、これを『またか』などと思わず素直に流れに乗る寛容さがあるはず。むしろ好きかも。
白人の女性陣に「ヘルプ」のようなアクの強さがないのは残念。そこは「ヘルプ」が白人女性vs黒人女性だったのに対して、この「ドリーム」は白人男性vs黒人女性で、観る人が反感を抱く対象が人種差別だけでなく性差別も加わったところがミソ。
少女が才能に点火するプロローグから宇宙サスペンスのようなラストまで、他国との開発競争も絡めた展開にロケット打ち上げのような加速感を満喫。
技術者としてキャサリンとメアリーが頭角を現すなか、出遅れた勘のあったドロシーが放つダメ押しホームランも痛快。ポストを自らの手で掴みに行く三者三様の奮闘する姿が素敵。
これが作り話ではない証拠写真がいっぱいのエピローグも楽しんでくだされ。
Disney+:2016/アメリカ/129分
NEBULAプロジェクター:4K/72in
Sonosサウンドバーフルシステム:5.1ch
2023.11.24