「すごく評判よかったけど…」ドリーム ゆ~きちさんの映画レビュー(感想・評価)
すごく評判よかったけど…
黒人もの、LGBTもの、女性差別もの、今までマイノリティに対する人権意識向上作品を散々見てきたので、物語の展開的にはさほど目新しくもなく、オチが読めた点では、ややエンタメ性には欠けました。
今の時代じゃ考えられないような人権無視は珍しくなかったでしょうが、この作品が他の作品と違うのは、出てくる黒人女性たちがとんでもなく頭がよいこと。
まともな教育が受けられず、親の収入では高等教育を与えられなかったろう時代にあんなに優秀な黒人女性が存在したのがそもそも奇跡的なこと。そして、その時代の黒人女性たちにとっては、誰にも負けない知性があれば、差別を受けずに生きられたという事実。
…だから親や先生は勉強しろと言うのです。自分だって勉強が好きじゃなかった学生時代を送ったくせに(笑)。
でも、勉強っていうのはなかなか平等な気がします。ルックスとか運動神経とか肌の色とか、生まれつきどうしようもない遺伝子レベルの差異ではなく、努力でいくらでも上を目指せるというのは、たしかに夢がありますよね。自分も数学できたら、世界が違ったかもしれないな。
ちなみに原題にあるfigureという単語には「人物」という意味と「数字」という意味があります。黒人女性という「意図的に隠された人」というニュアンスと「コンピュータによってはじき出された計算の裏に潜んでいる、優秀な人物の正確な数値」というダブルミーニングが潜んでいる点でも、こんな陳腐な邦題にガッカリせざるを得ません。
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