「あまちゃん in NASA」ドリーム ヒロさんの映画レビュー(感想・評価)
あまちゃん in NASA
宇宙開発というアメリカの輝かしい歴史に隠された黒人の中年女性というマイノリティを持った天才達のストーリー
私はアメリカの宇宙開発映画が大好きだ。ライトスタッフ、アポロ13…。
これらの映画の魅力は「人類」と「宇宙」の戦いである。
アメコミから出てきたような命知らずのパイロット、人類の英知を駆使し熱意と努力で問題を解決していく技術スタッフ。彼らは「個人」を動機としていない。NASA、アメリカ、人類の為に生存可能な環境の外に挑んでいくのだ。
プロパガンダの側面もあるだろうが、私は大変ロマンを感じる。
と、このドリームは個人に焦点を当てた映画になっている。ここが自分としては物足りなかった点。
主人公達は元々、天才だし実話だから正確に描写した結果なのかもしれないが、うまくいきすぎのように映る。
近いと思ったのは宮藤官九郎の「あまちゃん」。あのドラマは第1回の能年玲奈登場シーンが主人公の最底辺であり、そこから確変が始まった主人公が成功し続ける。
技術的困難に直面はするがそれを乗り越えていくのである。天賦の才能で。だからそこに葛藤があまりない。壁となるのは「人種差別」という倫理的不条理。
また、私生活の豊かさと職場の不遇の対比で天才たちを阻むのが技術的困難ではなく人種差別という思想の壁だったと示したいのだろうが、もう少し主人公たちの幸せを抑えてもよかったと思う。
どうも「人種差別」と「宇宙開発」の食い合わせが悪いというか、倫理的には良くないのだろうがNASAの挑戦は端から人種を超えた人類の挑戦なのではないか。
ただ宇宙開発から外れたところがこの映画は良かった。差別の本質の描写である。差別がなぜ起こるのか?周りがそうしているから、世間の常識に従ってたらいつのまにか差別になっていたということを露わにしている。
その世間のルールになってしまっている差別に対し被差別者の主人公達が戦って権利を勝ち取っていく。
この映画の中で魅力的だったのはハリソン本部長とジョングレン。なぜなら彼らは常識で差別をしなかった。自分で考え、主人公達に接していた。これが差別というものが無くなるも可能性なのかもしれない。
NASAの男はやっぱりかっこいい。
あとキルティンダンスト、本当にいやーな女だったなぁ・・・。めっちゃ上手い。スパイダーマンの頃と全然違う・・・。
ってあれ?白人が記憶に残っちゃった。(笑)