「人は嘘をつく。でも行動・態度は嘘をつかない。」三度目の殺人 ISSIさんの映画レビュー(感想・評価)
人は嘘をつく。でも行動・態度は嘘をつかない。
TVで見た。是枝監督の作品は始めて
日本映画で最後まで止めずに楽しめたのは数少ない。
ひとえに見続けられたのは役所広司の作品の是枝監督より深い犯人像の理解と演技力に支えられているとは思う。
最近の日本を席巻するオタク系の伏せ線は、「思わせぶり」だけでほったらかしだが、伏せ線もすべて回収されててホッとした。なのにネットのネタバレはトンチンカンで誰が殺したのか?とか3度目の殺人とは?とかホントにストーリーを何にも理解出来てなくてビックリだ。
ストーリーが理解出来なかったら、何も面白く無いはずなのに・・たぶんオタク系見過ぎで思わせぶりだけで楽しむ変な癖が出来てるのか?とか想像する。
本物の深い話は理解出来ないが、思わせぶりな深そうに見せた、偽物を安易に評価する。裸の王様だ。
ネットじゃ3人目の殺人は福山君だとか書いてあるトンチンカンにもほどがある。
最後なんか親切にしゃべり過ぎ(ネタバレ)だろう!その辺はもっと匂わせるだけでいいのに!と思ったぐらいなのに・・
人は嘘をつく。でも行動・態度は嘘をつかない。
しかし人は嘘を信じるが、行動は軽視する。
犯人は嘘ばかりつく。でも行動や態度を見れば本心や真実は理解出来る。
でも一番ダメな点は、高校生の娘が父親にレイプされ続けている事を、他人のおっさんに話すはずが無い。と言う問題の解決策に、犯人に手を触るだけで相手の心が読める超常能力を持たせた事が、あまりにも安直で、短絡的で作品に合わずダメダメである。そんな圧倒的なドラえもんの様な力があるなら、そもそも犯人がそんな悲劇的人生にはならないはずである。そもそもである。そこが決定的に破綻している。
そこは、頑張ってリアリティーのある話にしないと・・
そしてそこは、考える価値のあるポイントだと思う。
真剣に見てるのに超能力って!
それに通じる事だけど、父親にレイプされ続けた娘の「心の傷」が全く描けてない。その娘にストーリーの駒としての位置付けしか与えられていない。これも残念としか言いようがない。いわば犯人より心の傷は深いはずなのに・・是枝監督からは少女と言うモノに何の感情移入も感じない。
セリフ回しも何かとふわっと、残念な所が漂うが、でも日本映画としたら上等である。ハリウッドレベルの真剣な酷評に耐えうる作品だと思う。