劇場公開日 2017年9月9日

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「殺人者とキリスト」三度目の殺人 さくやさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0殺人者とキリスト

2022年1月30日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、映画館

これまでに観た中で、一番好きな映画です。

三度目の殺人、つまり死刑が大きなテーマなのは間違いないと思います。
「人を殺す人間と、殺さない人間では、種類が違う」と言いつつ、「あいつは死刑にすべきだった」と軽い口調で言えてしまう元裁判長は、「人を殺さない人間」なのでしょうか?

焼死体の跡、カナリヤの墓、雪の上に横たわる人の形、十字路。
何度も登場する「十字架」は、重盛が言ったように、裁きの象徴ではありません。
十字架が象徴するのは贖罪。
人間が生まれながらに背負った原罪が、イエス=キリストの死によって贖われたことの象徴です。

「大いなる器」である贖罪者、三隅。
とある接見のシーンでは、後ろからの光を背負い、神父と見まごう姿で登場しますが、彼は神の父ではなく、神の子なのではなかったか。
彼が贖おうとした人間の罪とはいったいなんなのか、是枝監督が想定する答えを、深く考えずにはいられません。

丁寧に作り込まれた映画なのです。

ピーナツバターを山盛りにつけたパンを頬張る、三隅の幼子のような表情に、「器」の中に何が入っているのかと首をかしげます。

片方だけ汚れた靴や、ハガキに描かれた絵など、一度しか登場しない画面にたくさんの情報が詰め込まれていて、何度見直しても発見があります。

さくや