ヒトラーに屈しなかった国王のレビュー・感想・評価
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ドイツ公使の描写が秀逸
前編ほぼ手持ちカメラのドキュメンタリータッチを意識した作りで、第二次大戦中のノルウェー国王、ホーコン7世の苦難の決断を描いている。
主人公はホーコン7世であるが、本作が出色なのは、ドイツ公使の苦悩と働きぶりを丹念に描写している点だろう。
ノルウェーの立場を十分に尊重し、ノルウェーで生まれた幼い娘も持つブロイアー公使は、強引な軍のやり方に反発心もあるが、孤立無援の中、なんとか戦火を最小限に留めようと骨を折るような、平和主義的な人物として描かれている。
平和裏な解決に向け妥協点を必死に探るブロイアーに対し、ホーコン7世は民主主義のため妥協せず、信念を貫く姿勢を取る。
国王の取った行動は、国王による内政への介入だ。だがその介入ことが民主主義の理念を守ることに繋がるという捻れも面白い部分だ。
しかし、邦題があまり良くない。ナチスやヒトラーの単語を入れさえすればいいと思っている節があるので、そういう短絡的なタイトルは映画の価値を損なってしまう。集客と映画の価値を高めること、両方を追いかけることを諦めないでほしい。
んー、そこまでは、
シーンが流れてるなか、いきなり暗転、中断して場所も変わって転換する演出、構成は、自分には合わなかったかなあ。
わざわざいったん暗転させて途切れさせなくてもいいのに、と。
大使の密談での主張もドイツの自分勝手、自分たちから侵略しててよく言うよ、と。
結局は武力を背景に一方的に要求を言ってきて、それでノルウェーが救われると?、それなら祖国ドイツに「侵略をやめろ」と言えばいい、そう言える身分でないならそんな交渉だの密談だのもムダだろう。
理不尽極まりない。
それでも抵抗したのはよくても、んー、その部分も濃いわけでもなく、あっけなく感じたり。
それにしてもしかし、いつの世も、他の国に迷惑かけて「侵略、占領」するなんて、自分たちの国がある意味愚かだと自覚ないところがやるもんだ。
そんな国が他からも支持されて好かれるなら、そんな国は進んで自ら併合でも吸収でもされるだろうに、どの国もそんなことはないわけで、そんな近隣諸国に武力や暴力で従わせる、威嚇だの侵犯だのやって、幼稚で愚の骨頂でもある。
そんな国が嫌われるのは万国共通、「自分たちがされたら怒るくせに」、それでもあえて他の国に迷惑もかけて恥もなにも顧みない方が幼稚で愚か。
今のこの現代でもいまだにそんな国もあって、この映画の時代のこんな悲惨な、理不尽さから学ぶことができてない国があるのも残念だ。
国王が決断するまで
第二次世界大戦時、ナチスドイツの侵攻に激しく抵抗したノルウェー国王ホーコン7世を描いた映画。
あの時代、北欧がどうなっていたのか全く知らなかった。デンマークは一日で降伏し、ノルウェーは屈しなかったのか。
ホーコン7世に対して降伏(とてもいい条件で)するように説得した、ナチスドイツで駐ノルウェードイツ公使の、ブロイアー公使も良いキャラだった。娘がノルウェーで産まれたということもあり、戦争回避するため全力を尽くしてた。結局はホーコン7世が降伏を拒否し、ブロイアー公使は妻子とともに左遷される。
戦争を回避したほうが犠牲は少ないと思うが、昔も今も降伏は悪なんだなぁ。政府ではなく国王が独断で決めたことだが、結果としては戦後感謝されることに。
本作では国王が決断するまでを描いているが、その後どうなったのかが気になる。
自分的にはあまりハマらなかった、、
予備知識0からの視聴
映画として面白いかは別
史実を基にしているので、
登場人物たちについてえらいな、とか
大変だろうな、などは思うんですが、
え、これで終わり?という絞め方なので
映画として面白いかどうかといわれると微妙です。
勉強にはなる。
ナチスドイツに脅されてたんだろうとはいえ
やばい局面に内閣総辞職って
まるでどこかの国を見ているようです。
開戦するか否かは一人の人間が背負うには
あまりにも責任が大きすぎる。
恐れによって、あるいは感情に流されての
選択ではなく、
あくまで原理原則に従って民主主義のために、の
決断は、長い目で見れば国民的にも
正しいと支持はされるだろうが、
戦後もご本人のあれでよかったのだろうか、という
悩みはつきなかったのではなかろうか。
それにしても、
日本の国会議員で胸を張って
民主主義で選ばれてるのだから
勝手なことはできないのだと
いえる人はどのくらいいるのだろう。
むなしくなりました。
多くの若者の命の消失に直結する困難な重い王の決断、それがノルウェーの誇りとなった
エリック・ポッペ監督による2016年製作のノルウェー映画。
ノルウェー映画は多分初めて。ナチス軍による攻撃や首都オスロからの北方向への政府の断続的移動、国王の降伏拒否の決断等、史実に忠実らしく、欧州歴史を理解する上で勉強になった。
後、強国がいきなり攻撃を仕掛けてくる恐怖、逃げても逃げてもどんどん敵が迫って来る恐怖、日本が近年経験したことがない恐怖、それがウクライナのこともあり身につまされた。
そして、ノルウェーの平和を求め講和受け入れを、敬愛するノルウェー王に提案するドイツ公使の努力もきちんと描かれており、好印象。実兄はドイツに即時降伏したデンマーク王、息子の嫁はスエーデン王族という欧州王族の家族像もかなり興味深いものがあった。
そして、何よりも腰を落とした、しっかりとした国王の描写に心打たれた。命を落とすことになるかもしれないが、それでも祖国のためにドイツ公使に合う決断をする。そして、自分の判断が多くの若者の命の消失に直結する困難な重い決断を行い、それを内閣に伝える。映画では詳しく述べていないが、その後、ドイツ軍に全土蹂躙されて国王らも英国に逃れることになる。何という過酷な決断。天皇陛下の無条件降伏受け入れ決断を、思い浮かべてしまった。
重い映画なれど、王の孫達とのふれあい、少年兵の活躍等も見せ、祖国の誇りをエンタテイメントとして仕上げた監督等、製作者達の力量に、感心させられた。
原案はアルフ・R・ヤコブセン、脚本はエリック・ポッペ、ハーラル・ローセンローブ=エーグ ヤン・トリグベ・レイネランド。
撮影はジョン・クリスティアン・ローゼンルンド、編集はアイナル・エゲランド。
音楽はヨハン・セーデルクビスト。
出演は、イェスパー・クリステンセン (ノルウェー国王、007/カジノ・ロワイヤル等)、アンドレス・バースモ・クリスティアンセン(王太子)、カール・マルコヴィックス (ドイツ公使)、カタリーナ・シュットラー -(ドイツ公使夫人)、トゥヴァ・ノヴォトニー(王太子妃、スウェーデン王族)。
ユリアーネ・ケーラー -(ドイツ公使館秘書)、アルトゥル・ハカラフティ (ドイツ語を話せる少年兵)。
【”全ては祖国のために・・”中立国だったノルウェー国王ホーコン7世のヒトラーからの降伏要求を拒否する4日間を緊迫感溢れる映像で描いた作品。】
ー 歴史は語るではないが、ドイツの傀儡政権の首相になったクヴィスリングが終戦後に処刑された事。一方、ホーコン7世と息子オラフ皇太子が戦後、ノルウェー国民から敬愛の念を持たれた事が良く分かる作品である。-
◆感想
・デンマークから来た、ホーコン7世(イェスパー・クリステンセン)が、逡巡しながらもヒトラーの降伏勧告に”NO!"という毅然とした態度を取った姿には頭が下がる。
- 今作では、それをヒロイック的に描かずに、苦悩、逡巡の末に決断する姿をイェスパー・クリステンセンが見事に演じている。-
・駐ノルウェー・ドイツ公使を演じたカール・マルコヴィッチの、傀儡政権のクヴィスリングを批判しつつも、ノルウェーの未来を案じ、ホーコン7世に進言するシーンも良い。
- カール・マルコヴィッチ。ナチス映画には欠かせない人物である。-
・ホーコン7世の息子オラフ皇太子が、取った行動も今でも、ノルウェーで王国一族が愛されてる事を良く示している。
<今作はナチスがヨーロッパ諸国に進軍して行った1940年4月8日~の数日にフォーカスして描いたのが、奏功していると思われる。
傀儡政権のクヴィスリングも声だけの出演で、あくまでナチス進行に対し、苦渋の”全ては祖国のために・・”という思いで重大な決断をした(それは、自身及び家族の生命の危険があるにも関わらず・・。)ホーコン7世の姿が印象的な作品である。>
民主主義は国民主権と言う意味。
ずっと気になっていた映画だった。
王国と民主主義は違うだろう?
単純にそんな意味合いだけれど、国王は国民のために何ができるかを考え行動し、国民もまた同じなのだ。そこに政治が存在して国民のために是非を判断する機能が働く。ノルウェーは中立国として世界に宣言していたにも関わらずヒトラーの野望のために侵略する。ルールを無視した暴挙にどう立ち向かうのか。犠牲を払わずに・・・。
危機はいつの世も音を立てて忍び寄ってくる。猫のような嗅覚を持たぬ人間はある日突然、降ってわいたかのように戦争に直面し逃亡を頭に浮かべる。
信念あるものは未来を見つめ、信念を持ち合わせぬ者は対処療法にしがみつくばかりだ。
しかし、国王は、偉大な国王は信念に基づいて自らの考えを主張しなければならない。そして、ナチスと交渉する、交渉というほどのことではなく、自らの国の何たるかを言い放つだけだった。それが、国民の総意でなくとも信念を伝えるだけだった。
けして威厳にあふれた態度ではないし迷い苦悩の色さえも露わにする映像はリアルに観ている者の心を乱打する。
払われた兵士の犠牲に対してどう償うのかも含めて生き続ける。
それは、敵がヒトラーであるが故の話だ。
1940年代はシンプルだったのだろう。善と悪が猿でもわかる時の流れだった。
複雑さを知的能力で超えなければならない今。
でも、信念は誰しもが持たなければならない心の在り方なんだろう。
欧米の人が「日本で一番長い日」を鑑賞したらこんな評点になるような・・・
ナチス侵略時のノルウェー国王と内閣、ドイツ外交官の物語。
日本で言えば、「日本で一番長い日」のような作品でしょうか?
ノルウェーがナチスとの戦争判断を行った経緯を、ドキュメンタリー的に映しています。
ノルウェー国民なら楽しめる作品なんでしょうが、遠い異国の日本にいる私としては、地味過ぎてまったく興味がわきません。
国王は、丁々発止の駆け引きをしたわけでも、銃を突きつけられるような恐怖にに屈しなかったわけでもありません。
国としての矜持を示したとはいえ、結局「戦争⇒敗戦⇒国外逃亡」では決して崇めるような判断ではなかったようにも思えます。
映画としても面白みに欠けるストーリーで、評価は厳しくなりました。
歴史の傍観者としてみれば学ぶべき点は少なくない
スエーデンからドイツへの鉄鉱石の輸入ルートを封じようとしたチャーチルのとばっちりでノルウェー侵攻の口実をヒットラーに与えてしまった、弱小国の中立宣言などはいとも簡単に踏みにじられるものだ。痛めつけられ失うばかりだったノルウェー国民にとってはヒットラーに王室が屈しなかったことだけがせめてもの誇りと言っては言い過ぎだろうか。
だからと言って侵攻6時間で抗う間もなく即座に白旗を上げたデンマーク王室に気概を問うても意味はない、むしろ緩い占領政策となった点では名を捨てて実を取ったとも言えよう、ヒットラーの悪行は論をまたないが、およそ善し悪しの判定などというものは周囲の観察や歴史の進行でどちらにも転ぶものだろう。それにしても古今東西、国盗り物語が人類の歴史の大半を占めているのだから情けない。面白味のある映画ではないが歴史の傍観者としてみれば学ぶべき点は少なくない映画だった。
教養に満ちている。
どうですか、これ。教養に満ちている。
ただ、どえらい退屈。なにも、世界史の勉強をしたくて映画を観ているわけではないので、個人的にはハズレ。興味がない場合はさけたほうがよい。
もちろん、戦争ドラマとして見どころがないわけではないが、そもそもそこを重視して作ってないような感じではあるので、のっぺりとしている。
あと、物事とらえ方次第みたいなところがあって、屈しなかった、と採れる反面序盤の展開見ると、どうも、聞く耳を持たなかった、と云えなくもない。すべては歴史(ナチス絶対悪、ドイツの敗戦)により審判は下されたわけだが。
それほど美談ではないよなあ、ていう。(失礼)
英国亡命後も描くべき
アナ雪にも出てくるオラフ
立憲君主制とは何かという点で興味深く自宅鑑賞。1940年4月9日から11日までの3日間をスリリングに描いていました。「イギリスから守ってやるから、国を引き渡せ」というのがナチスドイツの要求で、議会は混乱、あっという間に首相が辞任し内閣は解散するかとも思われたが、ドイツのクヴィスリングの傀儡によってクーデターが起こる。
とは言っても、映像では一切見せない手法のため、誰もがラジオに耳を傾け、有事の際の情報の無さの恐怖を感じる演出だった。今の発達した情報社会では考えられないのかもしれませんが、侵略戦争を起こす国の恐ろしさを見事に描いてました。
政府が実権を握っているはずなのに、混乱し、機能しなくなれば、最終的決断は国王にゆだねられる立憲君主制。戦争の犠牲者を出さないためにも早く国を引き渡してほしいドイツ側の公使ブロイアーの焦る姿も見事に描いていました。結構ぐずぐずしてたのに、ヒトラーからの直通電話を受け取り、心酔してしまったようにも見て取れた。いざ国王に謁見すると、陽の陰になった国王ホーコン7世の神々しさに圧倒されたのか、思うように説得できない。密室での条約なんて公使ごときじゃ相手にならん!と言われたらどうしようと、おどおどしているようにも見えるのだ。
そんな国王が取った選択は「すべては祖国のために」。ノルウェー史上初の国民に選ばれた王様であるため、民意を尊重し、ここで決定してしまったら民主主義ではなくなると言い放ったのだ。気持ちいいお言葉。戦争の犠牲者は出るだろうけど、ナチスに服従したところで戦争に駆り出され犠牲者は出るはず。選択が間違っていたら、即王位を退くと断言するのだ。
神格化されてるわけでもない国王の立場。あくまでも民意の代表であるという立場なのがユニークなシステムだった。どちらかというと、戦後日本の天皇制と似ているのがわかり、ちょっと勉強になった。
ホーコン7世が亡命時代熱心に読んでいた本
ホーコン7世は国民を愛し国民に愛された立派な君主だとは思うが、
ちょっと引っかかるのは亡命したという事実だ。
昭和天皇が亡命するだろうか。
あり得ない。
国民と運命を共にされるだろう。
昭和天皇は立憲君主なので
戦争には反対だったが政府の決めたことには従わざるを得ない。
にも拘らず戦争責任を一身に引き受けられた。
マッカーサーのもとに出向き、自分はどうなっても構わないから
国民を助けてくれと願い出たのである。
てっきり命乞いに来たと思っていたマッカーサーはこの言葉に感動する。
こんな君主がいるのかと。
さて、ホーコン7世が亡命時代熱心に読んでいた本。
何だと思いますか?
答えは「我が闘争」です。
この本で忘れられない一行があるという。
『自らの国を自らの手で守ろうとしない国民は、
世界の中で生存する価値を持たないのである』
今の日本人には耳の痛いお言葉ですね。
日本人が失ってしまった祖国という愛国心
ノルウェーの一番長い日
1940年、ナチスドイツが鉱物資源を狙ってノルウェーに侵攻する。
国王は王子と王女をスウェーデンに逃がし、皇太子と二人で対処しようとする。
ノルウェー政府は話し合いを求めるが、ナチスドイツはクーデターを起こし傀儡政権を作る。
ドイツ公使は戦争を回避しようとするが、ヒトラーは国王との話し合いで降伏させようとする。
ノルウェー王家の成り立ち、立憲君主の在り方など、誠実な作りになっている。
全く知識がなくても分かりやすい内容
素晴らしい
ホーコン国王は苦難の決断を迫られるが、主権国家を貫き、最後まで降伏しなかった。この作品で印象的なのはドイツ行使が最後まで平和的な解決に向けて努力をする姿をしっかりと描いている点が高く評価される点だと思います。
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