劇場公開日 2017年7月1日

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「本当に全く新しいゾンビ映画かも」ディストピア パンドラの少女 M.Kotaroさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0本当に全く新しいゾンビ映画かも

2017年12月23日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

興奮

いわゆる「ゾンビ映画」と言えなくもないが,ゾンビ化のメカニズムやストーリー展開は唯一無二で,既存のどの作品とも似ても似つかない。実に個性的でオリジナリティのある作品だと思う。2014年に発表されたM・R・ケアリーの手になる同名小説が原作となっており,映画化に際して著者自らが脚本を手掛けただけのことはある。

原題は『The Girl with All the Gifts』なのに,なぜ邦題が『ディストピア パンドラの少女』となるのか理解に苦しむ。確かに舞台は近未来のディストピア世界かもしれないが,この映画の本質が人間とウィルス,あるいは人間と「セカンド・チルドレン」の共生にあることは明白だろう。

主人公のメラニーは極めて特殊な「セカンド・チルドレン」ではあるものの,だからといって彼女を「パンドラの少女」と表現するのはちょっと違うと思う。なぜなら彼女は「最後に残った希望」ではないからだ。本編のラストで明るい未来を感じさせるシチュエーションが描かれているが,よくよく考えてみればそこには一片の希望もない。メラニーは地球上にただ一人残された「先生」と「セカンド・チルドレン」をつなぐだけの存在だ。このラスト・シーンから「希望」を汲み取るのはかなり難しい。

とは言え邦題の意味不明さを除けば素直に楽しめる作品であることは事実。オーディションで500人の中から選ばれたセニア・ナニュア演じる主人公メラニーの生き生きとした表情が印象的だ。

たろ☆