「美しくもゾッとする物語」ディストピア パンドラの少女 KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
美しくもゾッとする物語
冒頭から聡明なメラニーが可愛くて、でも恐ろしくて切ない気持ちになった。
綺麗な声でハキハキ明るく話すのが好き。
普段は賢い子供でも動物の匂いを嗅いだときの豹変ぶりが怖い。
形相が変わり顎を突き出してガチガチ噛む様子はゾンビ系の描写の中でもとくに気味が悪い。
菌と共生している、いわば半ハングリーズ半人間という彼女達の存在の未知感が凄かった。
最初から特別視していた先生に加え、だんだんメラニーに感情移入していく軍曹と兵士に柔らかい気持ちになる。
それが油断にも繋がってしまうんだけどね…
研究目的に仲間を危険に晒す博士にはちょっとイラついたけど、わたしも人間なのでワクチンを作りたい気持ちは分かる。
ああ、最後はメラニーも人間の為に自らを犠牲にする結末かな…
と思いきや、まさかのハングリーズ菌ばら撒きでびっくりした笑
でも普通に考えてそりゃそうなのかなと。
「私は生きている、なのに何で人間の為に死ななきゃならないの?」
優しく賢いとはいえ一人の子供だし生存本能もある。
もっと先生と勉強したいし施設にいたほかの仲間達もきになる。
メラニーからしてみれば人間なんてずっと自分を拘束して実験台にしてきたヤツらだし、仲の良い人以外知ったこっちゃないよな…
それならいっそ地球全体ハングリーズの星にしてしまえと
時間の限りやりたいことしたかったんだなと。
観終えたあとすごく複雑な気持ちになった。
メラニーが笑えて幸せならいいのかなーと思いつつ、やっぱ人間なのでワクチン欲しかったー!って気持ちにもなるし、そんな自分と彼女にゾッとする。
111分、どうなるのどうなるのってのめり込んで楽しむことができた。
映像は綺麗だし音楽がとても良いのでもっと大きなスクリーンで観たかったかな。面白い映画が観れた。