「ステイサム・メガロドン・チャイナ 海の異種大決闘」MEG ザ・モンスター 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
ステイサム・メガロドン・チャイナ 海の異種大決闘
B級サメ映画の題材を、ハリウッドが(中国と)たっぷり予算を投じて作った。
そして、怪物サメvsステイサム!
とにかく本作は、この2点に尽きる。
それ以外、何が欲しいというのだ?
これでいい。これだけでいいのだ。
他は何も要らねぇ!
それにしても、サメ映画も不滅の人気ジャンルだ。
原点の『JAWS』以降、様々な趣向を凝らして作り続けられている。その本数、大海の魚の群れの如く!
最近じゃ『ロスト・バケーション』『海底47m』など真っ当な物からB級映画専門会社アサイラムによるカルト的な人気を誇るトンデモサメ映画シリーズ『シャークネード』があるが、本作は後者の部類に入る。だって、
太古の巨大サメ“メガロドン”が現代まで生き延びてて、襲い来る…!
アサイラムでも作った事あるよね!? 絶対あるよね!?
それを、ハリウッドがマジモードで作ったのだから、B級モンパニファンにはこれほど嬉しい事は無い。
中身スカスカと言われまくっているが、これについては言い返せる言葉は何も無い。
本当にストーリー性ゼロの底抜け大作。
話は5分で思い付くレベル。
ヒロイックな主人公、美人ヒロイン、ユーモラスな脇役、自己チューな金持ち…登場人物も典型的。
近未来的な海底研究所のデザイン、未知なる深海底、領域を侵してしまった人間の傲慢さと滑稽さと闘い…最もらしい事も描かれているが、そんなのはただの前菜にしか過ぎない。
あーだこーだ言う輩はそもそも見なければいいのだ。
我々が見たいのは、期待しているのは、“奴”が遂に姿を現すその瞬間!
作品のインパクトのほとんどと言ってもいい、メガロドンのデカさ!
『JAWS』などの普通のサメでも怖さやデカさを充分感じさせるのに、ここまでデカけりゃ何だか笑えてもくる。
でも、襲撃されたら笑ってはいられない。
序盤の姿を見せぬ襲撃はお約束。
サメと言えばの海上に背ビレを出して泳ぎ、海中に放り出され迫るメガロドンに喰うか喰われるかのスリル、お馴染みのシャークケージ…。
やっぱりサメは賑やかなビーチに現れて、大勢のご馳走を襲わないと面白くない。想定外のデカさのサメの出現と襲撃に、エサたちは大パニック…!
サメ映画の定番もてんこ盛り。
主人公たちも襲撃されるだけじゃない。反撃開始!
仕留めた!…と、思ったら、
今まで襲ってきた奴は前座で…という、『GODZILLA 怪獣惑星』のラストのような、アレですよ、アレ!
サメ映画であり、立派なモンパニ映画。
スカスカ映画でも、モンパニらしい見せ場や基本はしっかり抑えている。
そんな怪物サメと闘うは、我らが当代きってのアクション・スター、ジェイソン・ステイサム兄貴!
『ランペイジ』でドウェイン・ジョンソンが巨獣と闘ったように、ステイサムも人間じゃ物足りなくなったのか、相手に不足ナシ!
さすがに素手で闘ったりはしないが、それでもクライマックスは身体を張ってのガチバトル。
それでこそステイサム!
役柄も傭兵や運び屋ってないだけで、いつものステイサム。でも、元レスキュー・ダイバーって役柄は元水泳の飛び込み選手だったステイサムの為の役のようで、『ランペイジ』のドウェインのようにヘンに学者でなくて良かった…。
中国人の女の子とのやり取りはほっこり。肉体派のステイサムだが、本作以外でも子供と絡むと意外やほっこりさせる。
メインはサメだが、ちゃんとステイサム映画にもなっている。
他、登場人物について。
皆空気だが、序盤であっさり退場するも、マシ・オカだけは本作でステイサムの次に漢であった。
紙一重のスリルと笑い、魚の群れと等しきツッコミ所以外に難点/不満点を挙げるとすれば…、
お色気要素が欲しかった。
もうちょっとグロ要素もあって良かったかも。
(この2点、『ナショナル・トレジャー』というアクション映画を撮っても死人は出ない/暴力シーンも無い健全ムービーにしたジョン・タートルトーブらしいが…)
クライマックスのバトルがいささか呆気ない。
それから、多くの方が叩いてる事についてもちと触れておこう。
全編たっぷりの某国色。
ひょっとして我々はメガロドンより、解せないあからさまな某国資本と見ながら闘っていたのかもしれない。
…その指摘はここまで。
単純明解な娯楽作として素直に楽しめる。
バジェットはA級、中身はB級な、モンパニ×ステイサム×サメ映画だ!