「ストーリー展開、キャラ描写、恐怖演出など、どれもがありがちで、その描き方も雑。」IT イット “それ”が見えたら、終わり。 Fate number.9さんの映画レビュー(感想・評価)
ストーリー展開、キャラ描写、恐怖演出など、どれもがありがちで、その描き方も雑。
「スタンド・バイ・ミー」のホラー版を狙っているのか、思春期の悩みや家庭問題などを抱えた少年少女たちが町で起こる不気味な失踪事件を解決する、と言う設定は意外とホラーにはありそうで無いし、町を覆う不穏な雰囲気は悪くないので期待して見始めたが、結果、時間の無駄に終わった。
思春期の複雑な少年少女たちの関係性や心情の変化などを丁寧に描くべきなのに、時間が長い割りに、ひとり一人のキャラやドラマが薄っぺらく(いじめられている、性的暴力、持病持ち)、そうした悩みやトラウマと"IT"の「恐怖を糧として力を蓄える」という設定が上手くリンクしていないので、ただ漫然と襲ったり脅かしたりしているだけに見えてしまう。
しかも悪魔や悪霊的?な超常の存在にも関わらず、小学生の物理攻撃でどつき回されているのを見ていると、これはコントだったのかもと思わざるを得ない(笑)。
最後の見どころであるはずの井戸の中での対決も、終始、暗くて何をやってるのか見づらいからイライラさせられた。わざわざこんなとこで「明かりの無い井戸の中は暗い」なんてリアリティを出す必要は無いのよ。まずは観客の見やすさを優先すべし。暗けりゃ怖いって訳じゃないんすよ。
結局、あのおデブ君は蚊帳の外に置かれ、たいして交流も無かった主人公の少年だけとキスして終わると言うNTRラスト(笑)。そこに至る「過程」が何も描けてないから違和感しか無い。なんで一人だけを優遇するかな?青春前夜の子供らしく、みんなで円陣組んだシーンで爽やかに終わらせれば良いじゃん。ホラーやミステリーに中途半端に恋愛要素なんか入れる必要ナシ!いれるならちゃんとキャラのドラマを描くべき!それが出来ていない作品は駄作です。