「どうしてR15?トラウマになるから?」IT イット “それ”が見えたら、終わり。 うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
どうしてR15?トラウマになるから?
いくつかのショッキングなシーンはあるものの、怖いとは思わなかった。精神的に追い詰められる「セブン」とか、ドキュメンタリー映画っぽくて妙にリアルだった「ブレアウィッチ・プロジェクト」なんかが私のツボで、この映画に差し込んである「恐怖」の演出はこれといって怖さを感じない。
それよりむしろ、少年たちの成長と結束、青くさい性の目覚めなんかが実にていねいに描いてあり、そこが大人の鑑賞に堪え得る内容になっていて、誰でも共感できる。
ピエロとの対決というクライマックスで、すべてをチャラにできるとも思えないが、それぞれに問題を抱える少年少女たちは乗り越えるべき障害をピエロに転嫁して成長していく。
たとえば父親から性的虐待を受けている少女。小児ぜんそくその他ハンデ持ちで、薬が手放せない少年。詩が好きで図書館に入り浸り、友達が出来ない肥満児。精肉業者の実家を手伝い学校に行かせてもらえず重労働を強いられる黒人の男の子。弟が雨の日に行方不明になったことから立ち直れない少年。などなど、大きな問題ばかり抱えているが、彼らにしかピエロは見えない。
映画では、少年たちとピエロとの対決を派手に盛り上げ、随所に恐怖の演出が仕掛けてあるが、怖さは感じなかった。他のお客さんたちは結構ビビっていた様子だった。(デートのカップルにはうってつけの内容だ)コナン君を子供と一緒に見に行って、大人のほうがハマってしまうようなものか。
実は原作も読んだことなく、有名なTVシリーズの「IT」も未見で、今回が初体験だった。事前にレビュー等で得た情報で、ある程度の内容は知ることが出来たので、こけおどしのB級ホラー映画ではないということは知っていた。
続編の製作が決定したということなので、当然彼らが大人になって再会する様子が描かれるのだろう。それまでに、原作も読まず、ネタバレにも触らずにいられるかどうかちょっと心配だが、映画独自の解釈を加えて、内容は少しイジってあるそうなので、見ても問題は無いようだ。
ただし、この作品を子供に見せるのだけは考えたほうがいいと思う。
私にとってはクリストファー・リーのドラキュラ伯爵がそうであったように、確実にトラウマを残す内容だと思う。
2017.11.14