「人々の中に根付く"IT"」IT イット “それ”が見えたら、終わり。 神社エールさんの映画レビュー(感想・評価)
人々の中に根付く"IT"
前作未観賞、監督の前作は観賞済。
基本ホラーを劇場で観ると(声を出してしまう、ビクッとしてしまうなど)リアクションしてしまうのが恥ずかしくて余程好きな作品・監督じゃないと観に行かないんだけれど、「『IT』はホラーだけではない現代社会の風刺作品で、スタンド・バイ・ミーに近いジュヴナイル作品になっている」と聞き、観よう観ようとは思っていたものの、ようやく観に行けた。
観終わった後、前評判で聞いた通り、ホラーなのにとても清々しい気持ちで劇場を出れた。
観終わってから調べて気付いたけど、「MAMA」の監督の作品なのね。
「MAMA」もホラーとしてのルックが良く、思い返してみると確かに今回の「IT」もその監督らしさも感じられる良い作品だった。
昨今80年代を舞台にした作品を多く見掛けるのは(「シング・ストリート」、「エブリバディ・ウォンツ・サム」など)それが現代の映し鏡として使い易いからなのかな?
今再び映像化された「IT」だけど、今見るとただ単に"恐怖を象徴する怪物とそれに立ち向かう子供達"ってだけじゃなく、ビルに対する吃音の差別や、ベンに対しての体型差別、マイクに対する人種差別、ベバリーに対しての女性差別=パワハラやモラハラ、セクハラ(一昨年のアカデミー賞授賞式までの事や、今年のme too運動などを見ると)などの"差別する者=差別意識"に対して立ち向かう、立ち向かう時が来たって言うメタファーに見えた。
子供だけが見えて大人には見えないって構図も、既に"差別意識"を当たり前として受け入れている今までの人を大人(過去の象徴)、その"差別意識"を変えようと立ち向かう人々を子供(未来の象徴)として描いている様に見える。
90年版のイットを観た後だとユダヤ人の子がいなくなってたり、27年の周期が30年になっていたりとちょこちょこ変わってる部分があるけれど、90年版と比較すると、大人になって解決される出来事や明かされる事実を大半描いているのが解る。
chapter2の公開も決まってるみたいだけど、ルーザーズクラブが大人になった時にペニーワイズが"どういう様に"見えて、ルーザーズクラブは"どういう風に"立ち向かうのか、今からとても楽しみ。