「始まり」IT イット “それ”が見えたら、終わり。 U-3153さんの映画レビュー(感想・評価)
始まり
副題とは裏腹に第1章だった。
ホラー映画だと覚悟して観に行ったのだが、途中から他の要素に気づきはじめる。
エルム街の悪夢とかそっち系かと思いきや、それだけでもなさそうだ。
ピエロ自体は、明らかにそっち系だけど。
結局、第1章だったから子供が主人公とも思えるのだが…はたしてそれだけなのだろうか?
この子供達を取り巻く環境というのが、どおにも恵まれておらず…。
皆一様に「闇」をまとってる。
父親から性的圧力を受けてそうな女の子
逸脱した過保護の母親
宗教に縛られてる子供や
屠殺を義務づけられる子供
詳細は描かれてないが、あのよく喋る超度の強いメガネをかけてる子供にも、真っ当ではない生い立ちがありそうだ。
そして、悪魔のようなイジメっ子。
この子に至っては、とんでもない描写の仕方で、その背景として父親も登場する。
何やら「it」がそれらを示すようにも見えてきて…ホラーって事だけでもないのかなと思えてきた時、怖くなくなってくる。
ちょっとしたアドベンチャー物にも見えてくるのだ。
でもでも、弟は実際に死んでいたり、何十人も行方不明にはなっているみたいで、子供達の一夏の冒険というには度がすぎる。
かなり軽い感じではあるが、相当危ないネタもぶち込んできてるし。
親殺しとか、未成年と銃とか、あの黒人の子は正当防衛とはいえ、そのイジメっ子を井戸に突き落としてる。
下に水が張ってあったとしても、タダでは済まないし、場合によっては死んでる。
それを緊急措置としと提示できちゃうアメリカの社会環境に空恐ろしくなったりと…。
この副題「それが見えたら終わり」っては何にかかるのだろう。
ペニー・ワイズなる恐怖のピエロなのか、それとも、子供が抱えてる自らを脅かすストレスや脅威なのだろうか?
後者であるなら「終わる」のは、その原因達でありとても希望を持てる作品ともとれる。
ただ…
あの「ミスト」を発表した人が、そんなものを書くのだろうかと甚だ疑問ではあり…なんかの懺悔なのか、はたまた目に入れても痛くない孫でもできたのかと…妙な詮索をしてしまう。
第1章とはあったが、第2章はあるのかな?
最早、始まりにして完結。とも思える。