「負け犬達の青春冒険ホラー」IT イット “それ”が見えたら、終わり。 KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
負け犬達の青春冒険ホラー
しっかり怖いホラーなんだけど負け犬グループの皆の一夏の青春冒険物語でもある。
ほっこりホロリとした次の瞬間にビックリ恐怖が襲ってきたりして忙しいけど新感覚で楽しい映画だった。
メインキャラが多いなと思ったけど、しっかりそれぞれのキャラ付けが分けられていて物語もそれぞれあったので「誰がどんなだっけ?」とならず観れた。みんな可愛い。
変幻自在なピエロの設定がかなりぶっ飛んでるんだけど、わりと実体があって物理攻撃が少し効いてるのが面白い。
オカルト的な怖さとモンスター系の怖さが良い感じにマッチしてて楽しかった。
「怖い場面」を作るためだけのシーンは多めだけどバリエーション豊富で飽きないし、私はまんまと怖がってしまうのでオールオッケー。
理不尽な恐怖の場面を何も考えず受け入れることができた。
ピエロのズンドコダンスにはさすがに爆笑だったけど。
いじめっ子の域を超えた攻撃的すぎる男子や嘘付き過保護の母親、娘に欲望をぶつける父親など人間の怖さも描かれていて、それらを乗り越えていたのも良かった。
特にエディの母親への反抗と、包帯に書かれた「LOSER」→「LOVER」の文字には単純ながらジーンと来てしまった。
最後、恐怖を与え喰らう側だったピエロがまとまって歯向かう子供達に初めて恐怖を覚える図が好き。
ただ、下で浮いてた子達が降りてきたその後がよく分からなかった。
ジョージーのカッパを見つけてみんなで泣いてたってことは、生き返って戻ることは無かったってことなのかな。
原作も前の映画も観てないからそこどうなったの?と気になってしまう…
凝ったビジュアルのびっくり箱みたいなホラーに少年漫画っぽい人間ドラマが良いアクセントになってて面白かった。
ツッコミ所は多いけど、ピエロは特に人知を超えた存在であると思えば普通に楽しめると思う。
スティーブン・キングの小説は好きなので、これも原作を読みたくなった。