「ろくでなしたちの純愛ドラマ」ろくでなし しもすけさんの映画レビュー(感想・評価)
ろくでなしたちの純愛ドラマ
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馬鹿で、無様で、愛おしい。渋谷の街を舞台に描く、ろくでなしたちの純愛ドラマ。
人を信じる事が出来ない現代の孤独な女と、生きる目的も希望もなく、どうしようもなく日々を過ごして、ただ死ぬのを待つ主人公のラブストーリー。
主人公のキャラクターは、いまの人間が忘れかけた大切な何かを感じさせる人物像になっていて、渋川清彦演じるヤクザも、孤独な都会の女も、主人公の不器用だけど真っ直ぐな生き様に影響を受ける。
この人とならこの世界から抜け出せるかもしれない。何処か遠くに行けるかもしれない。こんな自分でも、別の世界で生きていけるかもしれない。
結局最後は夢から覚めたみたいになっていて、欲しかった棚も使わないまま、あたしって一体何が欲しかったんだろう、みたいな。
あの世界だからこそ、本当に心の底から何かを求めていたのかも。ある意味ファンタジーの世界から覚めたところでストーリーが終わる。
人がそれぞれに抱えている想いが昇華されるには、リアルな現実ではなく、自分が求めている虚構の世界にこそ、答えがあるのかもしれないと思わせるような話かなと思いました。
映画やドラマではいつも、ろくでなしな人間がお話の筋を面白く描く役割を担っていて、それを普通に生きていける人たちが観て、色々と感じてドラマは完成するのかなあと。
こういう映画をこれからも観たいです。
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