ウィーナー 懲りない男の選挙ウォーズのレビュー・感想・評価
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恥はさらしても弁明と自己主張はするアメリカ民主主義の一端がここに
見るからにシャープな風貌と独特のカリスマでオバマに続く民主党の顔として期待を集めていた連邦下院議員、アンソニー・ウィーナーだったが、彼の夢は無残にも潰える。SNSに下半身のエッチなセルフィを投稿する性癖があったばっかりに、妻がヒラリー・クリントンの右腕として高い信頼を得ていた敏腕スタッフだったばっかりに。セレブ妻の忍耐とサポートの甲斐なく、露出趣味とは遂に決別できなかったウィーナーはやがてFBIの捜査網に引っかかり、そのまさに"副産物"としてヒラリーの私的メール問題が浮上し、結果、アメリカは悪夢のようなトランプ時代を迎えることになる。つまり、ヒラリーの敵は文字通り身内にいたというわけだ。日本ではあまり報道されなかったが、ウィーナーのスキャンダルは当時連日全米のメディアを賑わせていたことが、これを見るとよく分かる。不思議なのは、ぼかしがかかったイチモツの写真がTVに映し出されたり、それを送りつけられた被害女性がもろ売名目的で取材を受けている最中に、ウィーナーが逃げ隠れせず、恥ずかしそうにしつつも堂々と正直に記者会見を開いたりしているところ。モニカ・ルインスキーとの"不適切な関係"を弁明するビル・クリントンも同様に、何処かの国の政治家やタレントとは違い、恥はさらしても一応自己主張はして大衆の判断を仰ぎ、メディアは偏重なしでまんま報道する、アメリカ民主主義の一端をそこに見たような気がする。あっという間に時は移りトランプ旋風が吹き荒れる今、少々タイミングを逸して公開されるドキュメンタリー映画は、個人と社会の関係についての為になる考察が成されていて、意外にお得感満載だ。
「私はこれで会社を辞めました。」 ひと昔前にはこんなCMが大流行し...
「私はこれで会社を辞めました。」
ひと昔前にはこんなCMが大流行した。
さしずめこのドキュメンタリー作品の対象になった男。
本名 アンソニー・ウィーナー
別名 カルロス・デンジャー …は。
「私は“アレ”を出して選挙に負けました。」
スタッフの前等では沈着冷静で有りながら。ひとたびマスコミや有権者等に罵られると、突然に切れ出してしまう。
その部分だけを、又マスコミやネットでは面白おかしく報道する。
これぞまさに【負のスパイラル】状態。
その時は良かれ!と思い、胸の内では「良し!論破!俺カッコイイ!」
と思ってはいても、後日その醜悪な姿がマスコミで晒され。「俺…またやっちまった!」と、自己嫌悪に陥るその姿を見るにつれ。
本当に懲りない男だなあ〜と、思わせる。
そしてこの男には、ヒラリー・クリントンの片腕として働いていた《優秀過ぎる》妻がいた。
夫のスキャンダルに対し、マスコミの前に立つ妻。
見ている限りに於いては、この優秀な妻を利用しているのは明らかに見える。
だが事がスキャンダルの対応となると、この妻を全面に押し出す事によって、逆に本質から逃げている様にさえ見えるしまう。
そこが、この男が政治家としての最大の欠点の様に思えた。
昨年、あの佐村河内氏に密着した『FAKE』が公開され、大変興味深く観た。
あくまでも私個人としての意見ですが。あの作品の中での佐村河内氏には、まだ胸の内の全てをさらけ出した…とは言えないのでは?と、思える部分が多かったと感じた。
でもこのカルロス・デンジャー…!
いや、アンソニー・ウィーナーは、余すところなく全ての姿を見せきった辺り…。
天晴れ!
と言える…のかな?
(2017年3月1日 シアター・イメージフォーラム/シアター2)
自分で蒔いた種。
どうしようもないスキャンダルを起こしてしまった主人公。
ほんと何やってんのと、ほとほと呆れちゃいます。
でも、誰にだってそういう秘密は何かしらあるもの。
同情します。
二度目の際、それを許すかどうか葛藤する奥様の、ドキュメンタリーだからこそビリビリ伝わる苦悶の表情が印象的でした。
主人公のウィーナー氏、一度目はともかく、二度目がバレたら、普通挫けると思います。
なのに、カメラの前に等身大で立ち続ける。
決して称賛はしませんが、潔さを感じました。
そこまでしてでも「世の中を変えたい」というような熱意を感じ取らせる映画にはなっていませんでしたが、彼は終始エネルギッシュでした。
丁度わが国では、タイミングを同じくして、『森●学園に100万円寄付』というような大スクープがすっぱ抜かれたばかり。
どのように立ち振る舞うのか、潜入カメラで追い続けてみたくなりました。
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