コンプリート・アンノウン　私の知らない彼女のレビュー・感想・評価

解離性人格障害を患った人のように苦悩することもなく、人生が破綻することもない。どの人生でも成功しながら、それでもなお、どこかしらのタイミングで人生をリセットして別人としての生活を送り続ける〈アリス〉。職を転々とするという次元を超えて、完全に別人としての人格と人生を作り上げてしまうというのは狂気という他ない。誰を傷つけるわけでもないのだが、彼女の生き様はその目的が不明であるが故に非常に不気味だ。

15年も姿を見せなかった女がもとかれ夫妻グループの前に現れ、うそか本当か多彩な前歴を開帳する。変身願望にしては時々の生業を極め過ぎている。

女性は別れた男に今の自分の姿を見せたがるのは事実だ。今の彼氏や旦那を連れて男の仕事場に来たりする。だから、女を捨てた(かも知れない)男は現れた女に恐怖を感じるのだ。

サスペンス演出はジョシュア・マーストン

「否定と肯定」のレイチェル・ワイズが美しい女を熱演。