「ビックリするくらいつまらなかった。」メアリと魔女の花 ヘルスポーンさんの映画レビュー(感想・評価)
ビックリするくらいつまらなかった。
なかなか面白い展開にならず序盤から不安だったが、そのまま終わってしまった。せっかくのアニメーションなのだから絵で説明(表現)して欲しかった。いらないセリフ回しが多い。劇番をあまり使わない分、余計にセリフや演技のぎこちなさが目立つ。また、ピーターの顔がデカくなったり小さくなったりしていて気持ち悪い。不思議な魔法にかかっているんでしょうか。
知らない世界に迷い込むという意味では「千と千尋の神隠し」があるが、あれは絵の力が圧倒的で「こんな世界はいやだ!早く帰りたい!」と本気で思わされたが、本作はなんだか知らないが簡単に帰れてしまったり、建物のデザインが奇抜なだけでめちゃくちゃダサくて絵に何も魅力を感じなかった。アニメーションにとってこれは致命的だと思う。
ただ、冒頭のシーンはよかった。ちゃんと絵で説明仕切っているシーンだったからだと思う。満島ひかりさんの声がよかった。
物語ラストの「魔法なんていらない!」というセリフがこの作品のテーマであり、人として誰か助けたいと思う気持ちが魔法をも超える。みたいなことを言わせたかったのだろう。(最後まで都合よく魔法を使って帰っているので中々ピンとこないのが残念だが。)
例の魔法の実験は原発事故のオマージュでもあり、イギリスの児童文学である原作と日本の現代的なテーマを織り交ぜた脚本には納得できる。
問題は演出である。
客を楽しませる気がないのか同じ場所を行ったり来たり、箒で飛ぶシーンも同じような背景ばかり(基本的に雲の上)で退屈だ。「魔女の宅急便」ではちゃんと様々な街を飛び美しい風景を見せて、時には街中を飛ぶなど”箒で飛ぶと街がこんな風に見えるのか!”とちゃんと観てる人を感動させるつくりになっている。最後の動物大行進の絵も盛り上がれない。もっと派手に壊せばいいのにさらっと通りすぎてしまった。本作は演出が本当に薄味で物足りない。
ジブリだったこうだったなぁ〜、宮崎駿だったらこんなセリフは言わせないなぁ〜、とどうしても比べられてしまうのはかわいそうだが、本作はジブリ作品の凄さを改めて知ることになってしまった。