「頑張ってる感が強すぎた」メアリと魔女の花 クラマさんの映画レビュー(感想・評価)
頑張ってる感が強すぎた
ラスト手前までは楽しめた。特に、伏線が回収されたところはすっきりしたし、動物たちが助けに来てくれたところはドキドキした。
だが、ところどころに見えるジブリ感が作品を純粋に楽しむのを邪魔した。ラピュタ、魔女の宅急便、ポニョ、ハウル、千と千尋の神隠しetc…。やっぱり、ジブリという作品に大きな影響を受けてしまっていて、それから脱却するために頑張っているのだろうなというのが感じとれてしまった。
それから多くの俳優陣がこの作品には出演している。中には本当にうまく演じられている方もいたが、やはり"俳優が演じているキャラクター"であり演じている側がそのキャラクターの個性を消してしまっている方もいたように思う。
何から何まで詰め込みすぎていて、設定が甘い。夜間飛行という花がもとでメアリは魔法が使えるようになるが、最初に使ったのは昼から夜の時間帯でありながら、物語の後半では一夜限りは魔法が使えると発言してる。
一番最初の場面からメアリがあの森へ行くまで、おそらく半世紀以上は経っていると思うが、どのくらいの時間が経っているのかがわかりづらかった。
そして矛盾だらけのラスト。
魔力を失ったはずなのに、ほうきに乗って帰る不思議。魔力がなくなったからラストでほうきに乗らずに動物に助けられて、一番おいしい全ての魔法を解除するところをピーターがやったんじゃないのか?魔力失ってるのになんで箒に乗れるの?ピーターの魔力使ってるならピーターが箒に触ってないのはおかしいだろう。
そして、ラストまで大切にとっておいた一粒の夜間飛行をラストで投げ捨てるという衝撃。それを使って帰るはずだろうに。それないと帰れなくなるって言われてなかったか。帰るのを諦めてまでピーターを助けようとしたのはわかる。だが、結局助ける時も使わず、帰るときにも使わないって。マジでどうやって飛んでるんだよ、お前ら。
その夜間飛行を投げ捨てた結果、また地上に夜間飛行が咲いたらどうするつもりだったのだろうか。破裂して消え去ったから良かったものの、別の魔女がその花を求め、同じことが繰り返されたかもしれないのに。
"全ての魔法が解除される"という魔法の対象は今までかけられていた魔法だけであって、その本人が持っている魔力までが失われるわけではないというのはメアリ本人が実証してしまっている。
どうせ映画にするのなら、そういう部分も含めてきっちりと作り込んでほしかった。途中まで期待が高かっただけに、ラストは残念で仕方ない。
細かな設定が気にならない方は、この映画は楽しめるだろう。