「うふふ。続編は50年前に終わっているよ。」猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー) Naguyさんの映画レビュー(感想・評価)
うふふ。続編は50年前に終わっているよ。
SF映画の金字塔のひとつである第一作(1968年)の謎。"なぜ地球は、猿の支配になったのか"、"言葉のしゃべれない原始的な人間はなぜ登場したのか"、それが50年目にしていよいよ明かされる。
そうだったのか! 見事な理屈だ。
当然、週末1位と思いきや、まさかの2位(1位は"Fate")。けれども、気持ちよく1968年の「猿の惑星」に引き継がれるので、過去の名作を見直してみるのも一興である。近年の続編モノにおいて、もっとも繋がりの美しい完結編になっている。
上映終了後、近くの男性グループが、"コレ、ぜったい続編があるよね!"と会話していた(笑)。"続編は50年前に終わっているよ"とはツッコミできなかったが、半世紀も経っていれば、そんな微笑ましい反応も仕方ない。
本作の見どころは、しれっと高度なデジタルVFXを披露していること。絶対に3Dで堪能するべきである。
ご存分の通り、もはや単なる"着ぐるみ"ではなく、猿たちの動きの多くがデジタルで描かれた創作物である。ディズニーの「ジャンル・ブック」(2016)や「美女と野獣」(2017)でも、そうであったように、VFXが自らを主張することなく、ストーリーに溶け込んでいる。
後半の雪山のシーン。猿の自然な毛並みに、粉雪が降り積もる映像は必見!"人工物 on 人工物"なのである。ピーター・ジャクソン率いる"WETAデジタル"、スゲーッ。監督はマット・リーブスだけどね。
本作は"リブート3部作"と紹介されるが、正確には"前日譚"="猿の惑星・ビギンズ"である。
シーザー誕生の"創世記(ジェネシス)"の衝撃に比べて、2作目の"新世紀(ライジング)"は、"シーザー VS コバ"の仲間争いの意味が分からず、中だるみ感があった。しかし、今回の"聖戦記(グレート・ウォー)"で、その伏線も回収されている。コバの存在もようやく意味が見えてくる。
さらにさらに「猿の惑星」(1968)、「続・猿の惑星」(1970)に登場したキャラクター名"ノヴァ"を彷彿とさせる同名のヒロイン(少女)が登場するのも興奮だ。言葉をしゃべれない原始的な人間というのも意義深い。
(2017/10/14 /TOHOシネマズ新宿 /IMAXシネスコ/字幕:栗原とみ子)