劇場公開日 2017年8月18日

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「なずなを救える男などは居なかった(まだ中学生だし)」打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? 有無さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5なずなを救える男などは居なかった(まだ中学生だし)

2020年9月20日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:TV地上波

いろいろと前評判を聞いたけれど、思ったほど悪くはなかった。無力な子供がした無意味な抵抗を、せめてもとキラキラと美しく飾り立てた感じ。なずなには佑介か典道を頼るしか選択肢がなかったけれど、望む未来になることは始めから不可能だろう。

世間の不評を買ったらしいセクハラ発言などの男子中学生のホモソーシャル的な悪ノリはシラケたが、最後に佑介がやっと見せた、男同士の付き合いや友情を優先したけれど、本当はなずなが好きという本心を際立たせてくれたと思う。佑介は発言が終始フラフラしていて、本心とは別のことを周りのノリに合わせて言うから、本当に行動が読みにくかった。

一方、友情よりもなずなを選んだ典道は、彼女のことだけを考え、キラキラとした「もしも」の世界を彼女のためにいくつも積み重ねるけれど、それを知っているのは自分だけ。親の再婚とそれに伴う引っ越し、中学生の駆け落ちカップルの生活は成り立たない、という現実がある世界を変えることはできない。夢の世界での彼女の幸せしか叶えられない。

ミステリアスで魔性の女と思いきや、親に対して無意味な子供っぽい反発をするしか出来ないなずな。彼女を救える男などは居なかった。居たのは、中学生に対してそれを求めるのも酷なんだろうけど。

有無