「B級映画の知能犯」EXO エクソ odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
B級映画の知能犯
いかに低予算で未来SF映画をつくれるかというコンテストをやったら入賞するだろう。
ストーリーも単調、これといった見せ場も稀有なので中身はどうでもよいのだが、怪物が来る来る詐欺のようなみょうちくりんなホラー(法螺ー?)映画ができたのかの方が興味深い。
そこで監督の思惑を類推してみた・・・。
先ず登場人物はほぼ1人で室内劇が良い、マット・デイモンの「オデッセイ(2015)」でさえ似たようなものだ。だらだら長いと我慢できないが解放日を設定すれば耐えられるものだ、とりあえず100日、実際にははしょるので日付のスーパーを入れればよい。
照明は金がかかるしセットのアラが目立つので極力暗いシーンとする。色彩も落とした方が誤魔化しがきくしホラーっぽい。
大体のSFマニアは想像力に長けているから怪しそうな雰囲気だけつくれば勝手に膨らませてくれる。ホラーの常道だが暗い森などおあつらえでしょう、「プレデター」風の画を撮るだけで観客の脳内ライブラリーが映像に仕上げてくれる。
スリルを出すには情報は小出しにして視点も一人称、POVが良いでしょう。
ディストピアものでは過度な管理社会が定番、情報が怪しいのはお約束、疑心暗鬼にさせると勝手に妄想してくれるので飽きさせない。
さすがに塔内生活は殺風景、外界のエピソードやペットを仕込みたいが予算が無い、ネズミなら安上がりだし、かのウォルト・ディズニーも貧しかったころの友達はネズミ、それが後のミッキーになった訳だしね。
戦闘シーンやCGはお金がかかる、全く無しでは詐欺になるので最後にちょっとだけ匂わせてジ・エンド。これなら100万ユーロ以下、「プレデター」の1/10、「宇宙戦争(2005)」の1/100の予算で一本できる。
まあ、ドイツ映画らしい合理性、クリスティアン・パスカリエロ監督は相当の知能犯です。これで面白ければ万々歳なのですが目の肥えた観客には通用しないでしょう・・。