「テレビ放送で見るにはちょうどいいかな。」セキュリティ レントさんの映画レビュー(感想・評価)
テレビ放送で見るにはちょうどいいかな。
「デスペラード」でバンデラスを初めて見たときは衝撃的だった。その彼もいまや御年63歳。アクションだけでなくカンヌで男優賞を取るほどの演技力の持ち主。
ベン・キングスレーもそうだけど、ハリウッド俳優さんは手広く映画に出演されてる。アカデミー賞に輝く作品から本作のようなB級アクションまで。
芸能の世界はシビアだ。たとえ権威ある賞を受賞しても明日はどうなるかわからない。公務員ではないのだから。時には意に反するB級作品も選ばざるを得ないのだろう。ベン・キングスレーなんかガンジーに出たあとスピーシーズなんかにも出ているし。
さて本作、オープニングは恐らく従軍経験によるPTSDを発症しながらもなんとか安定した生活を取り戻そうとする主人公の姿が描かれる。と同時に少女を搬送するFBIの車列が武装集団に襲われる。
出だしは好感触、この後起きるであろう展開が予測される。案の定、主人公が勤めるショッピングモールに助けを求める少女。ここを舞台に戦いが繰り広げられる。
何らひねりがない展開だが、本作は監督の手腕次第ではもっと面白くできたはず。脚本の浅さは仕方ないとしても。
誰もが違和感を覚えたのは、ただの薄給の警備員たちが命をかけて少女を守ろうとする動機づけがまったく描かれないところ。主人公は別にしても他の四人があっさり武装集団と戦うという流れには無理がありすぎた。二日酔い姉ちゃんの唐突さがいい例。
例えばすでに武装集団に包囲され自分たちが生き残るために結束しなければならないという状況を描けばまだ説得力はあった。テレビ放送でその辺りカットされたのかなと思ったがノーカット版だった。
主人公のPTSDもどっかに行ってしまい、あれよあれよと武装集団との攻防が描かれる。アクションはベトナム出身の総合格闘家などを起用していてまあまあ見ごたえがあった。あの韓流アイドルみたいな無駄にイケメンな彼はあっさり退場。
あと、本作で一番致命的なのはあの少女。どう見ても命がけで守りたくなるような存在ではない。もう少しキャスティングも考えてほしい。
お金払っての鑑賞ならかなりの噴飯ものだっただろう。