「深い」ムーンライト ジョーカーさんの映画レビュー(感想・評価)
深い
情報量が少ないため、映画の中に気づいたら入り込んでいる。
主人公の情報はほとんどない。だんだんと明らかにはなってくるものの、最後まで完全には明らかにされない。そのことで映画の中に入り込む。自分たちも友人や知人のことをそこまで深くは知らない。その情報量はムーンライトの映画の情報量と変わらない。わかりにくい、というよりはより自分たちを映画の世界に近づけているのではないだろうか。
そして、シャロンの人生に大きく、深く関わってくる3人の人物の存在感。彼らを演じた3人の役者の演技力。深く心に突き刺さって抜けない。
シャロンの心情を言葉を使わずに説明する演出やカメラにも圧巻だった。音楽で、カメラでここまで心情を表現できるのかと思い、驚かされた。
シャロンは、母親の愛が必要な時に与えられず、他に愛を探した。愛はシャロンの中に満たされたようで満たされていない。大人になり、完全に生まれ変わったようだったが、幼少期の心の傷もなくなったのだろうか。
ケヴィンとのまっすぐで、純粋な愛の物語であり、ここまでまっすぐな愛に感心する。しかし、それだけではなく、人生そのものについて考えさせられるものだったのではないか。
私が読み取れたのはほんの一部であり、とてつもなく深い傑作だった。
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