「タブーをテーマに据えたドラマを浮き上がらせる映像の色彩が途方もなく鮮やかで眩しいです」ムーンライト よねさんの映画レビュー(感想・評価)
タブーをテーマに据えたドラマを浮き上がらせる映像の色彩が途方もなく鮮やかで眩しいです
ポスターイメージが暗示している通り、マイアミの貧困地区で暮らすシャイロンの少年期、思春期、成人期を描いた物語。極貧の母子家庭で育ち、母はヤク中で育児放棄、学校ではチビと呼ばれて虐められ、頼りになるのは近所のドラッグディーラー、フアンとその妻テレサ、そしてたった一人の友達ケヴィンだけ。そんな絶望的な環境下で自分を押し殺して耐え続けるシャイロンだったが、あることをきっかけに人生にほのかな光が差すがそれもつかの間、シャイロンは窮地に立たされる。
キャストがほとんど黒人、しかもタブーをテーマに据えた地味なドラマである本作がオスカー作品賞に輝いたのは意外でしたが、ドラマを浮き上がらせる映像の色彩が途方もなく鮮やかで、言葉少なに心を通わせる人々が文字通り眩しい映画でした。孤独なシャイロンを息子のように可愛がるドラッグディーラーを演じるマハーシャラ・アリの凛とした演技が素晴らしく、オスカー助演男優賞受賞も納得です。
コメントする