「残念な気がする」散歩する侵略者 kazzさんの映画レビュー(感想・評価)
残念な気がする
概念を奪い取るという着想は斬新だと思う。…が、これは舞台劇が原作だとのこと。オリジナルではない。
舞台は未観賞だけれど、映画が進むに連れ、舞台を観てみたい思いが増す一方だった。
松田龍平は得意分野の演技で本領発揮。
長澤まさみも、すっかり変わってしまった夫に愛情を取り戻し始める変化を、ナチュラルに好演している。
ただ、夫や夫婦関係の“以前”が描かれておらず、夫への思いを変化させるポイントも示さないまま、全部長澤一人の演技で補おうとしている。これでは、折角の好演も共感させられない。
首長竜のなんとか…も、ナンチャラの隣人もそうだったが、前半では“異変”を印象づける素晴らしいショットが随所に見られるのに、後半から物語りが破綻しはじめると、後はどんどん転げ落ちてしまうのが、最新の黒沢清ではないだろうか。
とても残念な気がする。
WOWOWで放送中のスピンオフドラマの方が黒沢清得意の不気味感が出ていて面白いように思う。
まだ半分しか放送されていないが。
コメントする