「ナミ(並)な話」ナミヤ雑貨店の奇蹟 るるびっちさんの映画レビュー(感想・評価)
ナミ(並)な話
そもそも時間を超えて手紙が往復するのは、韓国映画「イルマーレ」からのアイデアの頂き。
中心になる強いテーマがない。
強盗の青年が「人を信じられそう」と言うが、元々人間不信で強盗をしたわけではない。むしろ人情に厚い理由の犯行なので、人を信じていないはずはなく、感動に繋がらない。
悲しい設定といえば孤児、不倫、病気、自殺、愛人。
夢と言えば歌手など、まるで演歌の世界。発想が貧困。ノスタルジックな昭和の世界だから、昔の演歌のような設定で良いだろうと言うのは製作者の甘えだ。設定があざと過ぎて泣く前に笑ってしまう。
幾つかのエピソードは、全てに絡んでいるようで実は関連性は薄い。
本来、全てのエピソードが忍び込んだ三人の強盗に繋がるべきだと思う。
『クリスマス・キャロル』の傲慢な主人公が、三つのエピソードを体験して心変わりしたように、積み重ねないと強盗は改心しないはずだ。
しかし中盤の話は雑貨店の主人と手紙の送り手との繋がりで、強盗達との関係は薄い。話が途切れた印象になる。
話の積み重ねが無いまま強盗が改心するから説得力が無い。
しかも強盗自体が、本来善良な若者たちなので簡単に改心する。
いや、そもそも単なる勘違いで強盗しているのだから、複雑な状況などまったく不要で勘違いに気づけばよいだけだ。時間を超えた人との繋がりなど実は関係なく、「お前ら勘違いで強盗してるよ」と注意すれば、本来善良な彼らは簡単に改心するのである。だったら、2時間観る必要ないではないか?
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